君色恋愛ドラッガー (8027)
がくんと膝が折れた。
「どうした!?」
「チッ、弱ぇなぁ」
「気持ち悪い………」
兄貴肌の貴公子は心配して駆け寄ってきた。
ライバル兼師匠は悪態をつきながらも木刀を引いて稽古を中断してくれた。
「大丈夫か?吐きそうか?」
溢れ出そうなものを口元を押さえて我慢する。
ディーノに肩を借りながらよたよたと壁に凭れた。
スクアーロが眉を顰めながら見下ろしている。
「………スクアーロ」
「あ゛?」
「ツナが好き過ぎて気持ち悪ぃ」
「あ゛ぁ゛!?」
吐くのを堪えるような仕草のまま、山本は真顔で言った。
「さっきから、ツナが好きで好きでどうしようもない」
呼吸するたび、
手を動かすたび、
声を出すたび、
一分一秒綱吉への愛しさが降り積もる。深みに嵌まる。
ツ ナ
身体中が綱吉への思いでいっぱいになる。
判断力も理性も、その中に埋まって影も見えない。
どうして。
目の前に居るわけでも声を聞いてるわけでもないのに、どうして思いばかりが深まっていくんだろう。
溺れそうだ。
いや、きっともう溺れてる。
「――――あれ?」
気付けば年上二人が砂でも吐いたような顔をしていた。
「っ、テメェ………」
「あ、はは…は……」
「う゛ぉお゛おい!!稽古続けるぞぉおおぉぉっ」
タイトルby液体窒素と赤い花
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