シトロンの寝息 (2718) 捏造十年後 『なぁツナー雲雀知らね?』 『恭弥って今日出てるのか?』 『あ、あの、ツナさん!あの………ヒバ、……ごめんなさい!!何でもないです!!』 「山本、ディーノさん、イーピン。みーんな俺に恭弥さんの居所聞いてきたよ」 指折り数えて見せる綱吉に、リボーンは呆れた目を向けた。 「お前が知らなかったら誰も知らないからだろ。で?」 どうなんだと視線を向ける家庭教師に綱吉は肩をすくめてみせた。 リボーンは口の端で笑い、一輪の薔薇を綱吉に投げる。 「渡しとけ」 瑞々しい薔薇。 執務室を出て行くキレイな背中を見送りながら、綱吉はわざとらしく嘆息した。 「まったく……恭弥さんは人気者だね」 扉が閉まる寸前、リボーンが笑った気配がした。 23:35 ドン・ボンゴレの執務終了時間としては早いと言える。 学生時代には考えられない生活だなーと廊下を歩きながら他人事のように思った。 仕事は終わった。 けれど、貴重な睡眠時間を削ってまで、綱吉は殊更ゆっくり歩いた。 自室の中では、抑えた照明がぼんやりと部屋を照らしていた。 豪奢で、重厚な内装。 立派すぎるそれは、時折どうしようもなく落ち着かないけれど………。 予想通りのものをベッドの上に見つけて笑みがこぼれた。 猫のように丸まって眠る、恋人 切れ長の瞳は伏せられて、意外な程にあどけない寝顔。 綱吉は、こんな時間までずっとこの部屋で待っていた雲雀に囁く。 「誕生日おめでとう、恭弥さん」 2009.05.05 雲雀さんお誕生日記念 [*前へ][次へ#] |