やむなく辞世 (8027)
むずがる子供のように目をこするから、微笑みながらその手を取った。
う〜と小さく声を上げる様が可愛くて、その広い額にキスをする。
せっかくこする手を止めたのに、綱吉は空いている手でまたごしごしと目尻をこする。
「ツナぁ〜」
思わず笑みが大きくなる。
けれど、あのきれいなコハクを傷つけるといけないので、再びその手を取った。
両手におさまる小さくて、柔らかい手。
撫でたり、握ったりしてみた。
その感触に、何かが酷く満たされていく。
「ツナの手、小さいのなー」
当の本人はうつらうつらしていて、今にも船を漕ぎそうだ。
とろん、と
重たげな瞼がコハクの瞳を覆い隠す。
「ツナ」
「好きだぜ」
風の甘い香りが、した。
タイトルby花瞼
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