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プレゼント フォー ミー (sup27)


あ、猫っ毛。

「ん?」
「スパナさんて猫っ毛なんですね。獄寺君と同じだ」
「ふぅん」

スパナさんは興味なさそうに打ち込みに戻った。

スパナさんは今あぐらをかいた膝の上に俺を乗せたままでプログラミングをしている。
本人曰『人肌恋しい病』なんだとか

「ウチボンゴレに三秒以上触れないと死んじゃうから」

スパナさんはいつもの無表情みたいな顔のままそう言った。
何だそれ。

前に人がいたら邪魔じゃないのかなぁと思うけど、スパナさんの打ち込み速度は凄い。
俺には全く分からないけど。

ただ抱き付かれているだけの俺ははっきり言ってヒマだ。
退屈にまかせてつらつらとどうでもいいことを口走る。

「あー、そういえばスパナさん目もキレイですよね。髪もキレイだし」
「ん。」
気のない返事。まぁいいけど。

「飴の甘いにおいするし、こうやって抱き付かれてると分りますけど、意外と体温高いんですね」
「ボンゴレは子供体温」
「そうですかぁ?」

俺の腰に巻き付いていたスパナさんの手が、体温を確かめるみたいに俺をポンポンと叩いた。

「うん」

スパナさんは何かに納得したらしい。
何だろう。
「ボンゴレ」
「はい?」

「好きな色は?」

「は?」
「好きな色」
いろ?
うーん……
「青…とか?」
「分かった」

しばらくするとスパナさんは打ち込みを終え、何かを組み立て始めた。
俺の膝はテーブル状態だ。
ハンダや謎の部品を使いながら、まるでプラモでも作るようなノリで組み立てていく。
楽しそうだなー。
俺も男だしロボットなんかは好きだけど、スパナさんってスゴいよなぁ。
「出来た」
「えっもう!?」

見ると確かにスパナさんの手には小さいモスカみたいなロボットが乗っていた。

ミニサイズでおもちゃみたいだ。
ちょっと離れた目が愛嬌があってかわいい。
青いボディの真ん中に、オレンジ色のスパナマーク。

「ん。」
スパナさんがそのロボットを俺の手に乗せる。
「えっ?くれるんですか?」
俺が聞くと、スパナさんはきょとんとした。
「あげないよ?」
「え?」
俺の手からミニロボットを取り上げたスパナさんが何かをいじる。

「……何か、温かいんですね。ロボットって」
「冷却装置調節してあるから。稼働熱が全体から放熱される。」
「へぇ」

ロボットの目がピコピコ光った。

〈スパナサン スパナサン〉

おぉっ、しゃべった!……聞いたことある声で。

「うん。ボンゴレの声」

「俺えぇっ!?」
スパナさんはあくまで真顔だ。



「ボンゴレの代わり」
「え?」
「ボンゴレは、ここからいなくなる。だから、ボンゴレの代わり。」

この子の好きな色で、
この子の声で喋る、
この子と同じ温度のロボット。
そのロボットに、この子の目の色で自分のマークを入れた。

「ボンゴレがいなくなって寂しいウチへの、プレゼント」


じっ。
スパナさんは、俺をまっすぐ見つてそう言った。
そして、一旦床に下ろしたミニロボットを抱えて、そのロボットの目許に唇を押し当てた。

スパナさんは、このロボットを俺の代わりに作ったらしい。
スパナさんは今、そのロボットにキスをした。
俺は、ぬいぐるみよろしくスパナさんに抱き付かれている。

「〜〜〜〜〜っ!!?」







恥ずかしくて死にそう!!


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あきゅろす。
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