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にじまない情 (ワンピ/エース+ルフィ)





食いちぎる勢いで噛み付かれた。
「っ!」
「う゛ぅっ!」
呻きながら、噛まれていない方の手で小柄な体に拳を叩き込こむ。
エースに殴られながらも、ルフィは目茶苦茶に腕や足を振り回してくる。
爪が目尻を掠った。
振り回された拳が、エースのみぞおちに決る
「っ、てっめ」
カッと、そのまま手加減なしの一発がルフィに入る寸前、喧嘩に気付いた大人達が二人の間に入った。
引きはがされて、ルフィは激しく抵抗する。
「はなせはなせはなせぇっ!!」
エースは太い腕に掴まえられながらそんな弟を睨み付けていた。
「はなせよおっちゃん!!やだあっ!!」
「もう止せルフィっ」

エースが目元を拭うと、爪が掠めた所に血が滲んでいた。





「もうっ!心配するじゃない!」
「ごめんマキノさん」

少女のようにぷりぷり怒るマキノに、エースは苦笑しながら謝った。
飲んだコーラが傷に染みる。

筋肉が付くより早く背が伸びたエースはひょろりとしていて、エースひそんな自分の体を持て余すように座っている。
「ふふっ」
「?なに、マキノさん」
「そうしてると、アナタとルフィそっくりね。ね、こ、ぜ」
エースは肩を竦めてそれに応えた。

視線を下げれば、そこにはエースの膝を我がもの顔で占拠している弟の顔がある。
膝の上のルフィは、少し重い。
小柄なルフィが丸まると、カウンター前の椅子二つの上に収まる。

柔らかい黒髪を撫でた。
幼いせいか、潮風にあたっている割りにルフィの髪は柔らかい。
自分もこうだっただろうか。
同じ黒髪でも、エースのそれはもう他の大人達のように傷んでかたい。
呼吸に合わせて上下する肩。
エースはルフィの寝息が穏やかなことを確認した。
「で?」
「……で?」
「喧嘩の原因は何なのかしら?」
ずいっと迫ってくるマキノに、エースは気まずげに目をそらした。
口を割らなそうなエースを見てマキノは嘆息する。
「仲よしなのに」
ルフィの顔に痣ができていた。
エースが殴った所だ。
そっと触ると、痣は熱を持って熱かった。
「マキノさん、濡れタオルもらっていい?」
「えぇ。ちょっと待って」
冷水に浸されたタオルを受け取り、ルフィの痣を冷やす。
ついでにうっすらと残っていた涙の跡を拭う。
「……何でこんな兄貴が好きなんだかな…」
「え?」
「バカルフィ」
安心しきって眠るルフィの鼻をエースが摘む。
苦笑のような、優しい顔で。

「……ねぇ、エースは、やっぱりこの島を出るの?」

ルフィに視線を向けたままのエースの口元が少し歪んだ。

ガタッと大きな音が店内に響く。
酔っ払いの騒がしい笑い声。
店はいつの間にか夜の酒場の喧騒に満ちていた。
「あぁ…マキノさん、俺らもう帰るわ。ごめん迷惑かけて」
マキノにタオルを返して、ルフィをおぶる。
「ぅん〜っ」
「あーほらほら」
むずがるルフィを宥めて頭を撫でる。
ルフィがまた寝入ったのを見て、エースはマキノを振り返った。
「じゃ」
「えぇ、おやすみなさい」



弟を背負ったまましっかりした足取りで帰っていくエースを見送ったマキノは、店内に視線を戻して溜め息をついた。
「…優しいお兄さんよね?ルフィ」












なかよし兄弟
子供の頃は何も考えてないルフィと色々考えてるエースとでケンカしてるといい。
けどエースはなんのかんのと「お兄ちゃん」。



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