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最終警告を無視してキスをする (γ27)




捏造十年後








「こぉんなトコで何やってんだ?綱吉」

声を掛けたら、ふわふわとした茶色の頭が振り向いた。くるりと大きな瞳がγを見て破顔する。
γ、と笑顔と共に零れた声に、ガラにもなく頬が緩んだ。

「………花冠?メルヘンだな」
「馬鹿にしてるでしょγ」
「そんなことねぇって」

細い指から作った冠を抜き、姫にするよう恭しく綱吉の頭に被せた。パステルカラーの花は、線の細い綱吉によく似合っている。
かなりしっかり作られた花冠だ。色合いはぶちぶち適当にちぎったのが丸分かりだが。感心したような目に気付いたのか、二つ目の花冠を作りながら綱吉がどうでもよさそうに話す。

「むかしねー。せがまれたんだ。うちのかわいい居候に。けど、今の方が上手くなったかな」
「へぇ」

何でだ、とは聞かなかった。

二つ目の花冠を、綱吉はさっきより真面目に作っているようだ。ちゃんと色を選んでいる。白をメインにオレンジとピンク。
摘んで、編んでいく細い指。
器用なものだ。
生き方は不器用なくせに。

(なんて言ったら刺されそうだな)

「γ?」
ぞくっ

(……ったく。参ったね)

清純そのままの顔で見上げてくる綱吉の瞳は、透明で甘い。溶け出しそうなのに、深く澄んで。


小柄な身体を引き寄せる。肩を抱いて、それでもすっぽり収まる綱吉に苦笑する。

「ほっそいなあーちゃんと食べてんのか?」

眉を一つ上げただけで綱吉は答えずに花冠を作る。

よく考えたら、かなり変な光景だ。メルヘンティックな花畑に、いい年した男二人でいちゃいちゃと。

「できた」
「ん?」

綱吉は完成した花冠を振った。
白がメインのせいか、ウェディングっぽい。

「はい」
「あ?」
「ユニにあげて」
「……あぁ。姫か」

ユニに、と言いながら綱吉は笑いながらγに花冠を被せる。

「やめろって綱吉」
「大丈夫だって。γ色男だし、何でも似合うよ」
「どんな理屈だよソレ。わ、こらっ」

抵抗も空しく、花冠はγに被せられた。

「おいおい……」
「あ、そっかγってば金髪か。……ビミョーだね」
「綱吉………。」

脱力だ。
全くこの男は…。


冠を取り、少し乱れたオールバックを掻き揚げながら立ち上がる。
座り込んだまま花を見ている綱吉の頭をくしゃりと撫でた。奔放に跳ねるくせに綱吉の髪はいつも柔らかい。

「いくぞ綱吉」
「え?」
「いつまでも男二人でお花畑はないだろ」

綱吉がじっとγを見つめる。
琥珀いろの目で。

「……じゃあ、どこに行くの? 」
「どこでも?綱吉の行きたい所でいいぞ」
「……………バカだね、γ」

綱吉は、泣き笑いの顔でγを見上げた。



睦言みたいに詰ってくる綱吉に差し出した手。
綱吉はゆっくりとその手を掴んだ。
柔らかな手を、γは強く握った。





















まさかのシリアスオチ。逃亡中の綱吉と共犯なγ
ユニにお土産を作ることでγに帰る理由をあげたかった綱吉
タイトルby液体窒素と赤い花


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あきゅろす。
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