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恋人ごっこをしましょうか (白27)




捏造十年後










いつだって彼が翔ける空は青かった。

彼は、僕が唯一手に入れられなかった存在。

僕は手を伸ばす。
彼はふわりと舞い上がって、僕の手を擦り抜ける。


彼は見下ろす。
僕は見上げる。


あの琥珀の瞳は、甘やかな色とは正反対に僕を冷たく見下ろした。

絡み合う視線の密度。
ゾクゾクした。

優越感と凶悪な支配欲、獣染みた劣情。ぐちゃぐちゃになって、僕の体を呑み込んだ。

歓喜に指先が震える。



中毒になりそう





君と僕の間には、僕と君しかいなくて。


体の奥で昏くて熱い凶暴な何かが疼いて、僕の口角を吊り上げる。



君は見下ろす。
僕は見上げる。




君は知らないだろう。
僕が欲しがって手に入らないものはなかったんだよ?



君は見下ろす。


僕の伸ばした手が届いたことはない。



(あぁ、君ってホントに)




まるで断罪者。
その高潔な誇りを砕いたら、破片はキレイな水晶みたいなんだろうね。


僕は見上げる。



それは甘美な衝動で、


いつだって、





君は見下ろす。
僕は見上げる。




こんな興奮を知ったら、他の何かになんて目移りできないよね。



(ねぇ、綱吉クン)


君は感情を削ぎ落としたような表情で僕を見る。
僕の道化た態度も、数多の嘘偽りも、全部のみ込む琥珀の瞳で。




君は見下ろす。
僕は見上げる。





(あぁ、いいね)

僕を見つめる君の琥珀の瞳が好きなんだ。



舐めたくなる。






(ホント、ゾクゾクする)



あぁ、こんな風になるなんて生まれて初めてかも。



君と青い空の下見つめ合っている時間は、他の誰もいない永遠を閉じ込めているみたいだった。





優越感も支配欲も劣情も興奮も衝動も。

全部が氾濫する濁流みたいな勢いなんだ。





君は見下ろす。
僕は見上げる。



視線が、絡む。






その、常軌を逸したような、歓喜。

















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