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ある日曜日の話 (純ロマ/うさみさ)




天の岩戸のように閉ざされた部屋を前に、美咲は立ち尽くしていた。

「ウサギさーん……」

呟いてみても、帰ってくるのはマンションの沈黙ばかり。

美咲の恋しい相手はこの向こうで仕事中なのだ。
ちょっと切羽詰まっているらしく、ここのところ相手にしてもらえない。


リビングに戻ると、二人で居ると何とも思わないリビングのがらんとした広さに切なくなる。
ソファに沈みこんで、深く溜め息をついた。
時計のカチカチという音がやけに大きく聞こえて、美咲を落ち着かなくさせる。
キョロキョロと見回すと、部屋の隅に大型犬並の大きさのテディベアが転がっているのを見つけた。
美咲はもそもそソファを離れて、無言のままそれを拾い上た。
柔らかいテディベアを抱いたままソファに戻る。

テディベアからは日差しと彼の香りがして、美咲は余計腕に力を込めた。

テディベアを抱いたままソファで丸まって数分、相変わらず部屋には物音一つなくて。
ぎゅっと眉を寄せて、涙の代わりに悪口を零す。
「ウサギさんのバカ……」
薄情者、おたんこなす、仕事人間
暇つぶしのように心の中で悪口を言い続ける。

だが、それもすぐに飽きてしまった。

部屋は静かで、居心地が悪い。
「ウサギさん………」
美咲はテディベアに顔を埋めて、ころりと横になった。






「……………。」

仕事に一段落つけて出てきた宇佐見の目に映ったのは、勝手に部屋に上がって大きなぬいぐるみを抱いて眠る子供の姿。

安心しきったような寝顔を見て、ふと悪戯心がわいた。
美咲の耳元にゆっくりと口を寄せる。
意識して声をそっと掠れさせて。

「何…誘ってるの?」

真っ赤になって飛び起きた美咲が毛を逆立てた子猫のように騒ぐので、思わず噴き出した。


バカにしてーと喚く美咲と、笑って受け流す宇佐見。
そこに、居心地の悪い沈黙はない。











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