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我が親愛なるエトランゼ (APH/米英)





ときどき、俺達はひどく寂しい存在なんじゃないかと思う。

どんな風に俺は生まれてきたんだろう。
俺自身にもよく分からない。
かつて居た友、同朋達はどこに行ったのだろう。


いつだったか、そうフランスに尋ねてみたことがある。
「お前何?そんなこと考えてんの?」
爆笑しながらそう返してきたフランスを、軽く百発ぐらい殴ってやりたかった。

「そんなの、俺達に分かるかよ」

そう言ったフランスの横顔はいつになく真剣で。
自嘲したような瞳を見て、俺は拳を下ろした。



それぞれの家の事情は、ときに俺達の意思を無視して俺達に押しつけられる。

上司や、国民とは、所詮別で。
俺は決定的に違っていて。
多分、それを一言で行ってしまえば寂しい、ということなんだろうけど。


他のヤツらと喧嘩してるときはよかった。
いつも、自分と同じような存在に向かい合っていられたから。


「……United Kingdom of Great Britan and Northern Ireland、」

呟いたその名は、確かに自分を表すもののはずなのに、他人行儀で、なんだか無機質な感じがした。





そんなことを考えていた頃。

アイツに会った。

小さくて、必死に見上げてくる大きな瞳はいつもキラキラして。


アメリカ


嬉しかった。
何だか、自分が許されたような気がした。

自分が守るべき存在。

ぬくぬくとした体温も、頭を撫でて身をよじる様も可愛かった。
イギリス、と。
アイツがどこか舌ったらずに俺の名前を呼ぶのが好きだった。


「イギリス」
裾をひいたり、両手を伸ばして呼んでくるのは合図だった。
だっこ、目が言ってた。
だから俺は顔がほころぶのを自覚しながらアイツを抱き上げた。

アイツが笑ったり、喜んでいるのを見るのが好きだった。



「アメリカー帰るぞー」
「はーーい」

俺の呼び掛けに答えて、アメリカは摘んでいた花を放り出して駆け寄ってきた。
ちびがとてとて近付いてくる。

その光景は幸せそのもののはずなのに、何故か寂しさによく似た何かが指先を冷やして、ぎゅっと唇を噛んだ。


「イギリス?」
不思議そうに見上げてくるアメリカに気付いて苦笑した。
「何でもねぇよ」
誤魔化すように小さな手を掬って手を繋いだ。


繋いだ手をゆっくり振りながら二人で帰った。


アメリカの熱が伝わって、俺の手は大分あたたかくなった。

鼻歌を口ずさむアメリカを見下ろす。
柔らかそうな金髪と、ふにっとした頬が可愛いかった。

思わず笑みがこぼれた。



ずっと、こんなふうにして過ごせればいいと思った。









1776年 アメリカの独立宣言を受け、独立戦争勃発―――。















イギリス大好き彩葉さんへ




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あきゅろす。
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