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隣のS様 4 (27+69+80)



4.泣き喚きながら喜んでくれると思ったのに






「……………なんでしょう?」
「だから、ご褒美だって」

ニコニコ笑う綱吉は不吉極まりない。

骸は猜疑心たっぷりの視線を向けた。
ただの箱がこれほど邪悪に見えたのは生まれて初めてだ。

綺麗な箱だ。
包装紙は金粉が混ざったキラキラしいものだし、かけられたリボンも最高級品。
無駄に金がかかっているのは一目でわかる。
しかし、かなり成金趣味な包装だ。綱吉の趣味とも思えない。

「………………綱吉君」
「なに?」

あぁ、本当に楽しそうですね沢田綱吉

「この箱、一体、誰が、用意しました?」
「ドン・モレンツァ」

がくっと一気に力が抜けた。
骸にエベレスト並の自尊心がなければコメディアンのようにひっくり返るところだ。

「……君、僕とその人との事情知ってますよね………?」
「もちろん」
「………ではこのパンドラの箱を受け取ったが最後、謝礼として僕があの肥満体で脂性の男色成り金になにを要求されるか分ってます?」

骸の色違いの双眸が嫌悪殺気や倦怠や色々なものを含んで綱吉を射抜いた。




あぁ、そのときの彼の表情といったら!!




「ツナー?今日はご機嫌なのな」
「あぁ山本」

綱吉はひだまりの猫のように目を細めて笑った。

「あぁーあ。骸も勿体ないことするよねぇ」
クスクスと笑いながら、綱吉がリボンを解いていく。
中から現れたのは黒々と光沢を放つチョコレート。
「何だ。骸ソレ受け取んなかったのか?」

「そ、泣き喚きながら喜んでくれると思ったのに。残念」

「せっかく手間かけたのになー」
「ホントだよ。わざわざモレンツァからの贈り物の箱だけ取っといたり、王室御用達のチョコレート取り寄せたりしたのにね」
文句を言う割には綱吉はご満悦だ。
箱に騙されて好物を貰い損なった骸はよっぽど綱吉のお気に召す顔をしたらしい。
山本の脳裏に不憫な同僚の顔がチラッと浮かんだ。


「さて、次は誰にご褒美あげようかな」


とても楽しそうにそう言った若きボスを前に、山本は昔と変わらない爽やかな笑顔を張り付けていた。






――――――――――――――――

「あーそういえばこの間リボーンに面倒な仕事頼んだんだよねぇ」
「じゃあ小僧でいいんじゃねぇ?」

リボーン逃げてっ!!




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あきゅろす。
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