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素直には (re27)





「え、ツナ君予定ないの?じゃあもしよかったら……」

その砂糖菓子のような笑みに、綱吉がノックアウトされたのは言うまでもない。




ドタドタといつも以上に激しく階段を駆け上り、綱吉は自室に飛び込んだ。

「ヤッタ―――――っ!!」

込み上げる歓喜に我慢出来ずに跳ね回り、部屋をゴロゴロと転がる。
「がっ!」
当然ながら綱吉は机の脚に激突した。あまりの痛みに丸くなる。

「…………………………」

その一部始終を見ていた家庭教師は大変冷たい目で教え子に向けていた。
痛みが一段落した綱吉はやっと、己を見下す、もとい見下ろす家庭教師の存在に気付いた。
「リボーンっ!リボーンっ!お、俺どうしようっ!?」
「………何だ」
「クリスマス京子ちゃんと過ごせるっ!」
ピクリ。
リボーンの眉根が寄ったことに、興奮しまくりの綱吉は気付かない。
「これもリボーンのおかげだっ!赤点がないってこんなにいいことなんだなっ!」
テストの度にリボーンに扱かれた綱吉は、今回赤点の心配のない点しかとってないのだ。
自信を持ってクリスマスの約束が出来るというものだ。
喜びに真っ赤になった顔のままで、綱吉は京子ちゃんがどう自分を誘ってくれたとか、そのときの笑顔がどうだとかを語り出した。
綱吉の方が満面笑顔だ。
「あぁ〜っ!本当に俺こんなに幸せでいいのかなぁっ!」


「……ツナ」
「ふぇ?」


綱吉がきょとんと目を見張る。
リボーンの声は幸せ絶頂の綱吉が止まるほど感情が抜けていた。
しかし、視線を合せたリボーンがゆぅうっくりと笑ったのを見て、綱吉の血が一気に下がる。
「お前、クリスマス特別大特訓がないと思ったのか?」
「え、あ、あの、え?いや、」
「ねっちょりしごいてやるぞ」
「いや、けど、京子ちゃんが…」
明らかに何かのスイッチが入っているリボーン相手に綱吉は何とかがんばろうとした。
だが綱吉には何のスイッチが入っているのか皆目見当もつかない。

リボーンが笑みを深くした。

「ディーノも呼んであるんだがなぁ」
「ぐっ」

綱吉のことだ。あの気さくで気のいい多忙な兄弟子をイタリアからひっぱり出して、断ることが出来る訳がない。
「うっ、うっ、うっ…」
だらだらと変な汗を流している綱吉の脳内では、あの春の花の笑顔と王子スマイルがぐるぐるしている。


綱吉がやっと部屋から出て来た頃には、精気の抜け切った顔をしていた。
足を力なく引きずる音とあいまってまるで幽鬼だ。
(あぁ……せっかく…せっかく京子ちゃんがクリスマスパーティーに誘ってくれたのに……)




綱吉が出て行った部屋で、リボーンが電話をしていた。
「ちゃおっス、ディーノ」
『リボーン?何だよいきなり』
「お前、クリスマスは絶対日本に来い」
『は、はぁ!?む、無茶言うなよっ!クリスマスは同盟ファミリーでやることがあるんだ!何今更言ってるんだよ』
ディーノの抗議を微塵も気にとめずにリボーンは一方的に話を進める。
「いいから絶対来い。絶対だぞ」
『はっ!?ちょっ』
最後までディーノの意思は丸無視で電話を切った。


リボーンは、自嘲気味なため息をついた。










ツナ君を京子さんの所に行かせたくなかったカテキョさん



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