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花園は不可侵 (魂喰/椿マカ)




「椿ちゃんっていいにおい」
「そうかしら?」
「うん」

マカちゃんはそう言ってもぞもぞと動いて更に私に体をくっつけてきた。
あぁ、ほんとうに、なんて可愛いんだろう。

私は今、ソファに座ったマカちゃんを後ろから抱きしめている。
マカちゃんの目は目の前の大きなクリスマスツリーを見つめている。
私に身体を預けているマカちゃんが、とっても安心しているのが伝わってきて、私は胸が締め付けられるほど嬉しかった。

マカちゃんの髪からは甘いフラワーシャワーの香りがする。
マカちゃんの肌は甘いお菓子の香り。
「私はマカちゃんの方がいいにおいだと思うわ」
「そんなことないよー」
クスクスという彼女の笑いに連動して動く彼女の身体。
小さくて細いのに柔らかい。


可愛い可愛い可愛い。


その感情だけで身体中がいっぱいになりそうなほど。

ツリーの電飾がマカちゃんの顔を照らす。
キレイだと感嘆しているその顔の方が、陳腐な電飾に飾られているツリーよりキレイだった。


マカちゃんはとってもあったかい。
ずっと抱きしめているのでくっついているところがポカポカとあったかくなってきた。


あぁ、かわいい。
かわいい、かわいい、かわいい、かわいい、いとしい。


「マカちゃん」
「なぁに?」
「マカちゃん」
「なぁに?」
「マカちゃん」

三回目で、マカちゃんは耐え切れなくなったように笑い出した。

ふんわりとした頬の、柔らかそうな曲線。
私はマカちゃんの頬にすり寄るようにマカちゃんをきゅうきゅうと抱き締めた。


「マカちゃん、大好き」
「私も椿ちゃん、すき」

そして、私はマカちゃんと顔を見合わせて笑い合った。




「……おい、いい加減止めてこいよ」
「バカ言ってんな!お前が行けよ!」
「お前のパートナーだろ!武器ぐらい言うこと聞かせろ!」
「マカだってお前のパートナーだろ!何で俺様がっ!」

男達が小声で、切実に、嫌な役を押し付け合っている。
テーブルではクリスマスディナーが着々と冷めていく。
男達は椿の邪魔するなと語る背中をチラリと見やり、蒼白な顔で幸せそうな二人から視線を逸した。





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