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御伽噺をしましょうか(佐幸)





さわさわと、揺れる木々。
空は青く広い。
豊かな土地だ。自慢の



「旦那」


後ろに降り立った気配。
幸村は静かに瞼を下した。
暗闇。


「佐助」
「なに?」



「死ぬなよ」
「は、?」
「俺より先に勝手に死ぬな」
「……いきなり何を、」
「死ぬなよ」



佐助は、嘆息したようだった。



「ねぇ、幸村様」


闇に、柔らかな声音が反響する。
それは何故か幸村の中に不思議とすとんと落ちてくるので、



「黙ってたんだけどね、俺様じつは狐のあいのこなんだ」









「だから、死なないよ」











幸村は笑った。
笑った顔で振り返った。
「全くお前は…よくもまぁぬけぬけと……」

佐助もニカッとわらってみせた。
「あっれぇ?信じてないの?普段は隠してるけどね、こぉーんな金色のふわふわな尻尾があるんだよ」
「防寒具要らずだな」
「でしょ? だからね、俺様は死なないんだよ」
「あぁ」
「あんたがいいって言うまで死なないよ」
「あぁ」
「だから、あんたも俺を置いていかないでね」
「あぁ。約束する」






御伽噺をしましょうか
(かなうはずの、ない)















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あきゅろす。
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