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閉鎖的王国 (髑27)



捏造十年後



「やぁ、クローム」
「こんにちは、ボス」

そこは子供部屋のようだった。
空を模した壁紙
色とりどりのクッション
様々なおもちゃ
統一性のない無邪気な部屋

クロームが後ろ手にドアを閉めると、ドアは輪郭から溶けるように消えた。
「気分はどう?」
「大丈夫だよクローム」
「何か変わったことはあった?」
「何も。ここは相変わらず快適だ」
「何か欲しいものはあるかしら?。」
「何も。ここは相変わらず快適だ。」

綱吉は泰然と、悠然としてそこにいた。
その様は選ばれた者の超然さ、王者の貫禄だった。
彼が座るからこそ、只の木椅子が玉座になる。
彼がいれば陳腐な部屋も王宮になる。
彼の口から出ればどんな言葉も福音で、彼が触れればどんな物でも聖遺物だと。

クロームにとってそれは真理だった。
自明の理、世界の掟にも等しい。

クロームはゆっくりと綱吉に近付く。
あぁ、本当に、彼はなんて美しい。

「ボス、貴方を守れて本当によかった」

あの、汚い世界から。

クロームは深く安堵していた。
綱吉を“ここ”に連れて来られて。

血腥い抗争も、陰険な腹の探り合いも、この美しいひとにふさわしくない。

嵐も、雨も、雲も、あの死神も骸もどうしてそれが分からないのか。

「今の俺は裸の王様だけどね」

綱吉はおもしろそうにそう言った。

「……イヤかしら?」
「案外悪くないね」
綱吉の笑みが深くなる。
それを見て、クロームの胸の不安も消える。
彼の笑顔が、彼の存在が全てだったから。

かしづく王は一人。
かしづく臣下も一人。

「ボスは私が守るわ」

クロームは真摯な顔でそう言った。








08.12.5. クローム髑髏誕生日おめでとう


なんか綱吉が大好きで大好きでしょうがないクローム。
世界の中心綱吉が粗雑にされるのが許せなくてさらって精神世界に閉じ込めるのです。
綱吉が大人しくしてるのは、クロームへの愛とかボンゴレへの意趣がえしとか世界への諦念とかそんなかんじ。





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あきゅろす。
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