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青の狭間で見たものは (瀬戸内)

とっても捏造
死ネタ的な
















空が、青かった。


潮を孕んだ風が髪を揺らすのは慣れた感触で、思わず口許がほころんだ。



あぁ、今日もいい日だ。そう思った。



空が青くて、波も穏やか。風はあまり強くないから、航海日としては物足りない。




身体はひどく重かった。
鉛でも付けたような身体を何とか動かして船縁にもたれる。


息が荒い。








負けた。









「すまねぇな、ヤロー共」

答える相手は居なかった。





あぁ勿体ないな

もっともっと、
見てみたい海はあったのに。


(あー勿体ねぇ)


知らぬままで終わってしまう海達の美しさを、元親は惜しんだ。





もう、息を吸うのも手間で。






見上げた空は青い。

船が揺れる。接舷されたか。


あぁ鎧の音が。








元親はぐっと身体を伸ばす。


そして、そのまま重心をずらした。






瞬間


浮遊する







海へ。



潮の匂いが強くなる。

そう、ここは海だ。
俺の愛した瀬戸内の海。

浮遊する元親の下に影ができる。そこだけ青が濃くなった。





キラキラと、輝く水面。




そう、ここは海だ。




















その日、重たい水音を最後に長曽我部の水軍は壊滅した。












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あきゅろす。
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