愛とは傲慢なものである (瀬戸内) 現パロ ばきんと、瞬きの間にそれは二つに割れた。 携帯電話を折られる、ありきたりだが現実味がなさすぎて滑稽ではある。 しねばかもの 薄い唇は不釣り合いに可愛いらしくないことを言った。 女の手に似た細い指。その指が残骸を放り出す。 しねばかもの 細い面が紡ぐのはそんな言葉ばかりだ。 元就が出て行ったあと、屈み込んで携帯を拾った。 無残な有様。 喉の奥でくつくつと笑った。あいつは火の玉に似ている。 一重瞼の下のキツいまなざし。 視線が物理的存在になったらアレは槍だ。いつも元親の急所を狙っている。 「かわいいったらねぇよな」 再び笑いが込み上げる。 あの細い指は携帯をへし折ることも、元親をひっぱたくのも得意な指だ。 あの薄い唇から甘い言葉なんて出てこない。 そのくせ、こんな風にばっきりと潔いくらい携帯を真っ二つにしてみせる。 サークル仲間からの、ハートマーク入りのメールごと。 さて、 立ち上がって肩を回す。 いつまでたっても俺の誠実を信じないあの恋人を追いかけて、何と言ってやろう。 携帯の残骸をゴミ箱にシュートしながら思案した。 余裕のある兄貴ハァハァ [*前へ][次へ#] |