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novel
或春の日のこと
 市立旭川中学校。
 其れがおれの勤め先に成った場所の名前である。
 此の春採用されたおれは、学校に顔を出した後其の侭大学時代からの友人である緑川、石倉等と共に馴染みの居酒屋で飲んで居た。
「それにしても、宇多川が国語の先生かあ…」
 不意に緑川が口を開いた。すっかり酔っ払って居るらしく、其の顔はとても赤い。
「立派なもんだよな」
 石倉が続ける。喜んでくれて居るのか、其の表情は柔らかだ。此方は酒が廻り難いらしく、顔はほんのりと赤いだけである。
「いやあ、はは。しかし石倉は銀行員だろう、君も大層立派じゃないか」
 思わず照れ笑いをしてしまったおれは石倉を見て言う。
「そうか?」
 石倉はほんのりと染まった頬を掻いた。

「じゃあな」
「おう」
 おれが片手を上げると、石倉も片手を上げた。緑川は酔い潰れてしまい、足腰も立たないらしく、石倉に肩を借りて居た。
 おれは二人と別れ、もうすっかり暗い道を歩き始めた。

 不図空を見上げると、うしかい座が目に入った。あの一番明るい星が有名なアルクトゥルスなのだろうか。おれは立ち止まり、アルクトゥルスらしい星を仰ぎ見て居たが、また歩き始めた。

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あきゅろす。
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