彼にとっての、


 夏の午後は、暇だ。

 ひとり家に残り座敷に寝そべりながら、彼はそう思った。その家のまわりは田んぼや畑が広がる田舎道。遠くを望まなくとも山が見える。外に広がる木々の深緑は彼を余計に暇にさせた。

 リイーン……

 風に吹かれ、彼の柔らかな髪とともに、風鈴が鳴った。彼とは正反対に、清々しく……。




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