彼と冬のこと
深々と降り積もる雪は昼前から降り始めた。一向に止む気配はない。彼はそのにび色の空から落ちてくる雪を、体全体で寒さを感じ取るようにしてココアを飲んでいた。
とある旅館の二階の少し広めの喫茶室。彼は嫌ではあったが、そこしか空いていなかった窓際の席に一人、座っていた。もう残りの少ない、冷め始めたココアを、そのともに。
どうして自分は真冬の北国にいるのか……。彼は重く溜め息をつくとうなだれた。
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