思春期の頃


 秋の風吹き、紅い葉揺れる並木道。一人の少年が肩に少々重そうな荷物をかけ、心なしか小走りのような早足で歩いていた。
 少年はその並木道を抜け、学校の中にあるプレハブのような建物の、少し錆びて重くなったドアを開けた。ぎいいと不快な音をたてて開いたドアの先に、二人の少年が座っていた。

「おーっ、連絡不通知〜!」

 そのうちの一人、ストレートの髪に少し目の大きな少年が嬉々として声を上げた。

「……え?」

 面食らった表情の少年は状況を飲み込めず、ドアノブを握ったまま立ち尽くした。



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あきゅろす。
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