パノラマスイッチ


 どうしてあの人のことが気になり始めたのか、私は正直、よくわからなかった。
 だって私は自分より背が高くて、皆がかっこいいって言うような人が自分のタイプだと思っていたから。
 それなのに、あの人は私と変わらない身長――それは私が女の子にしては背が高いっていうせいもあるのかもしれないけれど――で、どちらかといえばかわいい人で、私の理想にはまったく当てはまっていなかった。

 だから私は考えた。悔しかったから。あの人が私の心を支配していくということが。私のタイプに、何も当てはまっていない、あの人が……。

 けれどあの日、私があの人に惹かれていった理由が、少しわかった気がした。



[次頁]
[戻る]


あきゅろす。
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!