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ギラリと煌めく瞳が雅の顔を打ち抜いた。
心臓を拳銃で撃たれたような衝撃と、恐怖がドッと押し寄せてくる。
血にまみれた男は、閉じられていた目を開いてジッとこちらを睨みつけていた。
怖い。怖すぎる。
体中はもう汗でベトベトで、気を緩めたら泣いてしまいそうだった。
「……これ以上……俺に近付いたら……殺す。
わかったら……とっとと去れ」
ものすごい眼力と、地を這うような低い声でそう凄まれ、雅は何度も首を縦に振った。
こんな怪我をしているのに、こんな弱っているのに、なんて迫力だ。恐ろしい。
雅はすぐさま逃げ出したかった。
でも。
悲しいかな。あまりの恐ろしさに、雅の足は竦んでもう一歩も動けなくなってしまっていた。
逃げられない恐怖と、目の前の恐ろしい顔に涙腺が崩壊し始めたころ、突然ふっと男は瞼を閉じた。
「え……」
驚いて彼を見つめる。
ズリズリと壁にずり下がる彼を、視線で確認してみると、どうやらまた気絶したようだった。
た、助かった。
やっぱりこの傷は相当酷いのだろうか。
明らかにさっきよりも顔色が悪くなっているし。
雅は男の顔をみながら思う。
「ど……どうしよう」
震える足をしかりつけながら雅は端正なその男の顔を見つめた。
夥しい血は雅に時間の無さを伝え、目の前の男の顔色が更にそれに追い打ちをかける。
そして何より雅を追い詰めるのは、男の懐から見える黒く輝く『それ』。
「うう……ちくしょう」
ダラダラと垂れてきた鼻水を啜りながらも、雅はもう一度その男に手を伸ばしたのだった。
今度はちゃんと、気配を消して。
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