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追憶4
6





「俺以外とキスしたくない?大好き?何それ?」

「な…何それ…って、」

俺の本心を言っただけだろう?
宮下なんかじゃ無く、本気で瀬川が好きだからこそ伝えようと思って言ったのに…。

「口じゃ何とでも言えるしね。言ってる事と行動が真逆じゃん?なんせ宮下で感じたんだろう?ハッ。全く笑えねーんだけど」


確かに俺が悪い…。
まさか自分でも瀬川以外の奴に感じてしまうなんて恥ずかしくて死にそうになる―…。


「ねぇ。黙ってないで何とか言ったら?それとも、誰でも受け入れちゃうの歩ちゃんの身体は。だったら相当な淫乱だね。」

「淫乱じゃないっ!!俺だって…ビックリしたし、…隙だらけな所を突かれて…」

こんなの言い訳にしかならない。
分かってる。俺が悪いって分かってる!
でも、あの時は本当にショックで…。

瀬川が女の子達に囲まれてるのも、慣れ合ってるのも…。
見たくない光景を目の当たりにして、どうしようも無かった――。

自分がま蒔いた種だと分かっていても、瀬川が女の子と話してるのが自然過ぎて、それが当たり前の光景なのに…っ。
俺は男だし、ましてや瀬川の担任。
ショックでも、あれが普通の男子高校生の姿だと思うと力も入らず魂が抜けたような脱力感。


「淫乱じゃない?前に、他の人に触らせないで。って言ったのに?それで歩ちゃん何て言った?分かったって言ったよね?アレ嘘だったんだ?」

確かに前に言われたけど――
嘘なんかじゃない!
瀬川以外なんて嫌に決まってるっ…!!
なのに…俺は――



悔しさに堪えて唇を噛み締めていると瀬川が大きな溜息をついた。


「歩ちゃんは、本当に俺を怒らせてばっかだね。もうさ、宮下で感じるぐらいなら宮下の所でも行けば?そっちの方がいいんじゃないの?」

「ッ…い、行くわけないだろっ!!ふざけるなっ」

瀬川の言葉に驚いたが、胸を抉られるくらい強烈な胸痛がした。

そんな事言われて傷つかない奴なんかいないっ!!

「何で?身体の相性いいかもよ?俺よりもっ―……」



パチンッ―…ッ!!!



咄嗟に手が出ていた…。
思わず俺は瀬川の頬を叩いてしまったのだ。



「…痛いんだけど。てか何で俺が叩かれなきゃなんねーの?悪いのは歩ちゃんだろ。」

鋭い目つきで相手を威嚇するような冷たい瞳を見せる瀬川に俺は切なくなった…。


「…っよ。…そーだよっ!俺が全部悪いーよっ!!だって仕方ないじゃんか!お前が女の子達に囲まれて楽しそうにしてんのがスゲームカつくし!女の子もお前に色仕掛けで迫ったり!でも、それが普通の男子高校生の姿だって思うと何も言えなくなるじゃんかよっ…!!俺がヤキモチ妬く立場じゃ無いって分かってる!だけどっ…そんな当たり前な光景を目の当たりしたら…苦しくてッ…辛くて…っ、俺なんか…いらないんじゃ無いかって…」


それ以上は言葉に出来なかった。
自分が惨めで酷過ぎて――。

瀬川と言う存在が俺の中で大きく膨らんで、瀬川が隣に居るのが当たり前の日常で…。
それが、壊れるんじゃないかっていつも怯えていた。
こんな関係、いつかバレるんじゃないか、女の子達と絡む時間が増えればやはりそちらに向いてしまうんじゃないかって…。



「…好きなんだよっ!…瀬川が…好きで…堪んないっ。…だから…宮下の所に行けなんて言うなよ―…。…捨てないで…っ、俺を捨てないでよっ…せがっ…―!?」



ギュッ――…





「捨てないよ。捨てる訳無いじゃん」

今にも泣きそうな俺を瀬川は優しく抱きしめてくれた。
驚きと戸惑いで言葉が止まってしまう…。

 
「宮下なんかに渡さないよ。あんな奴じゃ歩ちゃんを幸せにしてあげられない。俺じゃないと、ね。」

いつもの意地悪な笑顔を見せた。

「にしても、妬いてくれたんだぁ〜。やっぱり妬いてメソメソしてるんじゃないのかなーって思ってたんだよね〜」

「め、メソメソっ!?女みたいな事っ…」

「してないの?だってショックで落ち込んでる所を宮下に付け込まれたんだろ?」

ニヤニヤと笑ってやがる。
わざと煽らせて、女の子達と楽しげにしている場面を見せ付け俺が嫉妬させるように…!

「まさか、宮下相手に感じるのは予想外だったけど改めて調教し直さないといけないって分かったから良しとするかな。」

「なっ!何だとっ…!!!」

「俺が、宮下みたいな野郎に歩ちゃんを渡すとでも思った?さすが我ながら名演技♪」


名演技?
このセリフ…前にも聞いた事がある。

そうだっ!!!
素直に好きだと言わない俺に鎌掛けてひと芝居打ったあの時だ!

また、乗せられるとは…不覚過ぎる…っ。


「何ボケっとしてんの?調教し直さないといけないって言ったでしょ?」

「…へ?」

「へ?じゃねーよ。どこまでヤラれたんだよ。言え」

は?いや、マジ怖い。
顔も声も…!!

「ま、待て!教室に戻らねーと!」

そうだよ!まだ学園祭の途中だろ?
主役が居なくてどーすんだよ?
だって勝負も残ってるなら――


「知らねーよ。歩が俺を怒らせたんだろ?だったら、たっぷり最初から教え込んでやるよ。俺以外に感じないようにな」

口端を上げて笑う瀬川に後退りして行く。


「逃がすかよ。言っただろ。後で声が出ないくらい鳴かしてやるってな」


ヤバい…。
マジ逃げなきゃヤラれるっ!!
学校はマズい!しかも他校生や一般人も沢山きてるんだぞ?
誰かにでも見られたりしたらっ――!


「早く言えよ。どこをどうされて、どう感じたのかさ」

後退りしても強く抱き締められ逃げる事が出来ない。

「俺に苛められるの好きだろ?ちゃんと言わなきゃお仕置きが待ってるぜ?それとも、されたくてわざとしてんの?」

完全にドSかつ意地悪モードに入ってやがるっ!!

「まずは、覚えてもらわないとな。キスに、俺の指に…―」

「ッン…やぁっ、はっ…ぁっ、」

濃厚なキス責めに、服越しからの乳首への愛撫…。

「あれ?もう勃ってんの?感度良すぎだね。だから宮下相手にでもこんな甘ったるい声出して聞かせたんだ?」

「あっ、あぁっ…ッ!!」

乳首を指先でグニグニと弄り回される。

「許さねーよ?俺以外の奴に聞かせやがって。声が枯れるまで鳴かせてやるから。」





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あきゅろす。
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