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鬼畜王子4
5






コイツ…分かってて知らないフリしてやがったな!


「ばっ、バカ!顔近寄らせんなっ…」

掴まれていた手を払い顔を背けた。


「図星?ハハ。本当に慶太は顔に出るよね」

完全に見透かされ水谷はクスクスと笑ってやがる。

「うっ…せぇ」

それよりも早く本題に入らなければ。

でも、自分から切り出して聞く勇気も無い。

『冗談だよ』

って言ってくれたら俺も安心するのに。
でも、冗談なんかで男の俺にキスしたりする奴なんかじゃ無い。

遼は分かってるみたいだけど、全然俺には分かんねーよ!
俺なんかにキスして楽しいか?
いや、キモイだけだろう―…。






「その顔じゃ、分かってないみたいだね。」

混乱した頭で考えると、それを見ていた水谷にが口を開いた。

「…やっ、う、う…ん…」

少しだけ目線を戻し水谷にを見る。

相変わらず平然とした態度。

「遼にでも電話した?」


ギクッ―!!!!

そこまで俺の行動パターンを読めるのかっ!?

「頭で考えるの苦手だしね慶太は。遼にでも相談してそうだったし」

そーだよなぁ。長い付き合いしてんだから俺のパターン丸分かりだよな。

「それで?遼は何て?」

「…勉強よりも簡単な答えなんだけど。だって…」

すると、水谷には腹を抱えて笑い出した。

「俺に何でキスされたか分からなかったから?ハハ。やっぱ遼は気付いてたんだ?」

「…気付いて…た?」

何を?

「そう。俺の気持ちにね。まぁ、アイツは鋭いから下手な事は出来ないしね」

水谷の気持ち?
遼に分かって本人の俺が分からないってどーゆう意味なんだよっ!?

「まだ分かんない?俺が慶太にキスした理由」

ジリジリと再び俺に近付き距離感が縮まる。

「…っ、わ…分かる…訳…ねーだろッ…」

分かってたら、こんな苦労して悩んだりしない。

「じゃあ、どーやったら分かるかな?」

「…へっ?」

「言葉が必要?お馬鹿な慶太君には?」

軽く含み笑いが入っていたが、今はツッコム余裕さえも無い。

言葉?
俺に言葉で伝える事があるとでも言うのか?
――…何を?




「じゃあ教えてやるよ。慶太にキスした理由」


ドキッー…































「慶太が好きだからだよ。」







…――――――っ!?



予想外の答えに頭が真っ白になる。





「い、いや…っ、お…ッ…俺も水谷好きだけど…」

この好きは、どっちの意味なんだろうか?

友達として?
恋愛対象として?

まてまて、水谷なら彼女直ぐにでも作れるだろ?
昼休みの時に、柚月にあっさり横からか掻っ攫われた感じ。
って言ってたよな?
それって、いつも一緒に仲良く連んでたダチを取られたって言う嫉妬心から来たものじゃないか?

それで、面白くないからって普段しないような悪ふざけでキス…したとか…。

そうだ!間違いない!
だから、遼は『今まで水谷の行動見てきたら分かる事じゃん』って言ってたんだ。

そーだよ!中一からずっと一緒だったのに、いきなり離れたら寂しくなるよな?
逆で考えたら俺も寂しく感じるし…。

だからって、わざわざキスまでしなくてもいいじゃねーか。
水谷も、こんなクドい悪ふざけしなくてもいいのに。

プライドかな。
恥ずかしくて寂しいなんて、男じゃ言えねーだろうし!

あー良かった良かった!
解決して!






「慶太は俺が好き?」

「当たり前じゃん!一番の親友だろ俺ら」

笑顔で返すが水谷の顔が冴えない。
何でだろう?




「はぁーー」

何?スゲー長い溜息つかれてんだけど?

「ねぇ。その慶太の頭のバカさ治らないの?」

「はぁ??」

「本当疲れる。まぁ、何となく分かってたけどさ。ココまでバカな子見たの初めてだわ。」

これは完全にバカにされてます?

「さっきから人をバカ呼ばわりして喧嘩売ってんの?」

「はぁ…。喧嘩売る力もねーよ、このバカ慶太」

せっかく解決して喜んでたのに、何このイライラ感?
バカバカって連発されていい気分なんてなれないんだけど?


「行動で示しても言葉で伝えても理解出来ないなんて、ねーわ。」

「ちょっと。さっきから聞いてれば屈さすような事言われてんだけど俺?」

「でも、そんな所も可愛いって思ってしまう俺も末期だよな。」

さっきから水谷が言ってる言葉が理解不能だ。

可愛いとか、末期とか意味分かんねー!
水谷の奴おかしくなったのか?
じゃないとキスなんてしないだろ?
昨日どっかで喧嘩でもしたのかな?
頭怪我してたりしてんじゃねーよな?



「してねーよ!頭チラチラ見んな!」

ヤベッ!
さすが水谷。本当に俺の事把握してんな?

「ったく!あんまりボケてっとマジ犯すぞ!」


はぁ??犯すっ!?


「どうせ柚月とはそんな関係なんだろ?」

「ッ…!!」

何故…それを?
俺達の事は知られて無いはず…。







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あきゅろす。
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