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鬼畜王子4
10








「いいんじゃないか?水谷も誘えば。大事な親友も一緒だと嬉しいだろ?」

小さく鼻で笑う柚月…。
嫌みにしか聞こえない。


一緒だと嬉しいだろ?って…。
水谷にこれ以上迷惑かけたくないし、柚月に誤解を解いて元通りに戻りたい…。

会長を見ると、早く返事をしろと言う眼で睨まれた。



 
俺の返事は――…、




「嫌だ。関係の無い水谷にまで巻き込むな!」

水谷との問題は俺が自分で解決する。
どうせ、必ず解決させないといけない問題なんだ。

そう言って、会長に強く睨み付けた。  






「ふーん。柚月と言う恋人がいながら、友達の水谷君を庇うんだ?キスした仲だから情が出て来たのか?」


ククッとバカにした笑い。
柚月に水谷とキスしたのは、いずれ分かる事…。
これ以上隠すのは後ろめたい。

でも、それを聞いて柚月がどう思ってるのか不安で堪らない。

俺は柚月の顔が見るのが怖くて目を合わせれ無かった―…。



「ほぉ。信頼していた親友からのキスはどうだったんだ?お前の事だから感じたんじゃないか?はしたないからなぁ、慶太は。」

それを本心で言ってるのか分からないけど、俺が悪いって分かってるッ…!!
分かっているけど、そんな冷たい罵声を浴びせるのかよっ!
横には会長もいるのにっ…。


「どうした。何も言えないのか?本気で水谷に惚れたか?ククッ」


「ッ…んなわけっ、ねーだろっ!!何でそんな事言うんだよっ!!ヒドいだろっ」

すると、笑っていた柚月の顔が無表情に変わった。

「ヒドい?その言葉そっくりお前に返してやるよ。別にお前が水谷の所に行こうが俺には関係無い。勝手に好きにしろ」

表情を変えないまま柚月は生徒会長室から出て行った。


なっ、何だよッ…!!
好きにしろっ!?

柚月には、きちんと謝って誰が一番好きなのか伝えたかったのに!
だいたい、水谷にキスされたからって好きになる訳ないじゃん!
俺が好きなのは柚月なのにっ…。
そんな事、言わなくても分かってるクセに…。



「好きにしろだとよ。良かったな?」

人の気も知らないで、見物を楽しんでいる会長に苛立ち以上の気持ちが湧き上がる。 
 
「テメェ…!!いい加減にしろよっ!」

限界が頂点に達した俺は会長の胸ぐらを思い切り掴み上げた。
本気で殴りそうな勢いを押さえながら、俺よりも背の高い会長を睨み付け威嚇する。


「心外だなぁ。楓とお前の為に言ってやったと言うのに。」

「お前のは、ただ俺達をかき回して楽しんでるだけだろっ!!邪魔すんなッ!!」

「邪魔?邪魔してるのはお前だろ!手離せよ」

会長は胸ぐらを掴んでいる俺の腕を掴みギチギチに握り締める。

互いに睨み合い掴む手に力が込み上がる。

「…。お前、喧嘩慣れしてるだろ?」

俺の腕を握り締める力に、睨み付ける眼。
普通の奴とは違う…。
俺達に似た何かを感じた。


「だから?俺が誰か覚えて無いクセに」


―――…?


「まぁ、雰囲気も随分変わったしな」

記憶を呼び覚ましても、こんな奴の記憶なんて残って無い。
 
「碓氷宗士って言っても覚えてねぇか。お前の友達なら分かるだろ。聞いて思い出してみな」

俺の腕を払うと含み笑いを見せ扉の方向へ歩き出すと扉の前で止まった。


「土曜日10時、学校前の駅に集合だからな。柚月は俺が連れて来るからお前も友達連れて来いよ。じゃあな」

「おっ、…おいッ!!」

俺の返事など聞かずに部屋から出て行った。




碓氷宗司――?

誰だ?確かアイツは昔から俺を知っているようだった…。
前にもそんな台詞を言っていた…。

水谷にも知ってるって事は中学の頃か?
俺達の一つ上の学年だろ?

思い出しても分からない。
知ってたら名前ぐらい覚えてそうだけど…。
  

仕方ない。水谷に聞こう…。|
それに勝手に映画の約束取り付けやがって!!


どうにかしないと…――。











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あきゅろす。
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