04 真田が甘味好きなのは今も変わらないようだ。 昼休み、ユエはたまには学食でとランチを頼めば可愛らしいプリンがおまけでついてきた。長く勤めている職員のため彼女のてきどな量加減を理解してくれている、残さず食べることができた。しかし本日はプリンがおまけである、しかし既にお腹は膨れていて‥さて持ち帰ろうかどうしようかと次の時間を見ながら考えていた。 「ぷりんがないと!」 「まぁまぁ旦那、そう大声出さないでよ」 「しかし‥某のぷりんが」 きゃいきゃいと犬のように騒ぐ少し離れた席では真田幸村と猿飛佐助、‥と愉快な仲間たちだった。うるせぇやら残念だねぇやらと賑わう食堂が騒がしくなってしまった。ユエは顔をしかめながらも「ごちそうさま」トレイを返却口に返し片手にはプリンとスプーンを持って彼らに近付く。 「あ!せーんせ!」 また会ったねぇと初めに気付いたのは佐助、ついでにこちらをみる仲間の目は好奇に満ちていて、オカルト学の講師がなんの用事だろうかと見つめられてもユエはただ持っていたプリンを真田に差し出した。 「!」 「私はオマケでつけてもらっただけだから‥真田くん好きなんでしょ?」 「し‥しかし先生殿」 「いいからいいから、次は居眠りしないようにしてくれればそれが恩返し、ね?」 ニッコリ笑みを作るユエに一同は目を丸くした。どうやらやはり、オカルト学で緩い教科だというだけで選ぶ輩だけではない、と、佐助は内心で苦笑する。「となり座ってよ」と椅子を引けばユエは素直に従った。 「つーかさ、悪いよ、せんせ」 「いいって‥ほらもう食べてるし」 「ちょ!旦那!」 「ね?次の授業楽しみにしてますから」 可愛らしくプリンを頬張る真田にユエは懐かしそうに微笑んだ。頬杖を付く仕草が可愛らしくて佐助は何やら役得役得と笑みを作ってしまった。 「先生は甘味好きの男子をどう思われるか?」 「?」 すっかり食べ終わった(否、彼の場合はプリンは飲み物だろう)真田がユエを見据える。パチクリとして真田に目線を向けると「そうねぇ」と考えるように言葉を切る。 「知り合いの息子さんもね真田くんに負けないぐらい甘いものが好きだよ?でも弓道部のエースで‥真田くんも強いし彼も凄く強いし、甘いもの好きでもいいと思うわ」 「(弓道部のエース‥って)」 真田以外のメンバーが頭に浮かぶのは生意気な餓鬼だった。そいつと一緒かよと眼帯二人は笑うし佐助も肩を落とした。 「まことか!」 「まことまこと、だから気にすることじゃないよ」 うふふと仔犬を見るようにユエの目が細まる。そして「変わらないなぁ」と小さく呟いたのは誰も気付かなかった。 「ユエ!」 「片倉さん?」 「お前、どこいって‥政宗様?」 「Oh‥どうしたよ小十郎」 バタバタと現れたのは同じくオカルト学と有名な陰陽学の講師・片倉小十郎だった。知り合い?と三者は瞬く、面白くなさそうに溜め息をついたのは佐助だった。 「あ、じゃあ伊達くんが片倉さんの言ってた“若様”?」 「まぁな、つか俺のチカラに気付かないのもどうかと思うぜ?」 「‥ふふ」 「ユエ、食事が済んだら来いと言っただろう」 「ごめんなさい、つい可愛い生徒達と交流したくて」 ね、と佐助を見て笑うと席を立つ。小十郎は佐助を見て「ああ」と納得したように言う。伊達にも声をかけて三人は食堂を後にした。 意外な関係性 (今期の彼が思い出さなくとも)(私は待つと決めているから) [*前へ][次へ#] [戻る] |