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05


「で、どうだった?感想は」

鬼の旦那、と付け加えれば貯水タンクから銀が煌めく。

「あれだろ、東の竜の義姉」

「いやぁ、そんな裏情報は置いておこうよ」

「‥まるで餓鬼だな」

「うわ、率直な感想だね」

屋上に呼び出したのは、手っ取り早くユエを見てもらうため、まさか鬼の旦那にまで依頼を受けるとは思いもしなくて(うーん俺様ってばモテモテ)ユエには書面で、鬼の旦那には実際に。一度に二つの依頼を消化するなんて俺様なんて働き者なんだろ。

「‥まぁ、竜の野郎が溺愛すんのも理解できた」

「本気で狙っちゃ駄目だよ?俺とか旦那とか‥色々敵に回すことになっちゃうだろうし」

「は?」

「中学三年間、同じクラスだった俺様にだってあんなぎこちないんだから」

「‥まぁ、まずは友達からだな」

「(えー、鬼の旦那ってば意外に弱気)」


もっとガンガンに来るかと思っていたのに、いやぁこりゃあ予想外!


「Kitty、かえっぞ」

「‥だから、来なくていいって言ってるのに」

「あ?」

「‥すみません、竹中先輩、」

「僕は構わないよ、ユエくんの分は終わってるんだから」

風紀委員は忙しかった。毛利くんが集めた書類を纏めてグラフ化して生徒指導の豊臣先生に提出しなくてはならないのだから。

「‥と、ユエくん、明日も頼むよ」

「はい、お先に失礼します」


ペコリと礼をして風紀委員会室を後にする。政宗は鼻唄混じりに御機嫌だし(今回は一緒の帰宅を受けたからだろうけど)全く現金な奴だ。

「ユエ、今下校か」

「毛利くん!あのね、竹中先輩はまだ残ってるよ」

「そうか、‥にしてもユエ」

「はい?」

「‥朝、痴漢に遭ったらしいな」

「!」

「今回は長曽我部がいたから良いものを‥以後、気を付けるように」

「はい、」

なんとなく、気まずい(何故って隣に殺気立ってるお方がいるからだよ)青筋立ててる政宗を「なんだ知らなかったのか」という目で見てる毛利くんから政宗の腕を引っ張って逃げるように早足で下駄箱まで歩く。

「ユエ、」

「はひっ」

「‥だから、あれだけ一人で電車は危ないと」

「今日はちょっと、一本遅れちゃっただけだよ、いつもはもっとスッカラカンなんだから」

怒ってる政宗の目は苦手だ。怖いし何より、私を名前で呼ぶんだもん。

「‥しかも長曽我部たぁ、」

「知らなかったんだよ、そ、そそれに西も東も今は関係ないでしょっ」

早く帰ろ、と靴をはいて迎えの車に乗り込む。(慣れない黒いリムジンに私はまだびくつくんだよね)

「‥いいか、ユエ、運悪くもお前は伊達の養女になっちまったんだ、全く関係ないとは言えねぇんだよ」

「‥、運悪くなんかないもん」

「は?」

「‥政宗のお姉さんになれたもん、ばか」

「‥‥」

「‥でも、私は私!初めにそうしていいって言ってくれたのは政宗だよ」

「まぁ、そうだけどよ」


まずい、口許が緩む。

運転席の小十郎が微笑ましく見ていたのは気付かない振りをした。



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