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20(大谷+石田)
テスト期間が終わり、いつもの授業を受ける。返ってきたテストはそれなりの成績で数学はいつもより少しだけ点数が良くて嬉しかった。学校が終われば、大谷さんちに今日も行く。恋する乙女状態で。しかし、気付かれない恋というものは燃えるものだ(この際、告白をしてしまっているではないかという事実は置いておく)。石田くんはいつもと変わりなく、佐助くんは心配しているようだったがそれなりに、見守ってくれているみたいだった。

大谷さんちに着いて、大谷さんに声を掛けたら「今日は三成が来やる」なんて言うからスーパーで買い物をして、もちろんいつもと変わりないのだが今日は炊き込みご飯とけんちん汁と魚にしようと野菜売場やらなんやらと歩き回って久々にカゴいっぱいの買い物だった。ふたりとも和食が好きで良かったと思う。

「大荷物よなァ」
「今日は特別ですよ」
「やれ、三成が来やるからか?」

たまたまですよ、と苦笑いをする。大谷さんはなんだか拗ねてしまった子供のような言い方をするから可愛らしく思ってしまったではないか。これも恋する乙女フィルターなのかと感じた。仕込みをして、お茶の時間になる。今日は黒田さんから頂いたらしい羊羹があってそれをお茶菓子にすることにした。

「なにか良いことがあったのか」
「えっ?」
「今日のユエは我の家に来てから嬉しそうにしやる」

貴方といるからですよなんて言えなくて、でも言いたかった。恋なんてしたことなくて、もしかしたら1回寝ただけで恋と呼ぶのは失礼なのかもしれないが、それでも私は大谷さんのことが好きなのだ。好きな人とふたりきりで居られるのだから幸せなことだ。

「刑部、私だ」
「三成くん、いらっしゃい」
「ユエ、刑部を困らせてはいないか」
「た、多分」
「ユエはよくやってくれておる、そう睨みやるな」

学校では普通なのに、大谷さんの前では小姑みたいな言い方になる石田くん。多分、私の気持ちを知っているから親友を取られたみたいで嫌なんだろうなぁとそう思った。少しだけ寂しいな。

3人で食卓を囲み食事やお茶をするのもすこしではあるが慣れてきた。お茶菓子はなんでも良いみたいだが食事は和食がイチバンだった。少食なふたりが羨ましい。分厚い本は万能で、あれこれと作りたくなるけれど小出しにしていこうと決めていた。毎日毎日あれやこれやと試行錯誤して作る夕食が楽しかった。

「ユエ、気を付けて帰れ」
「石田くんもね、気を付けて」

お見送りして洗い物に取り掛かる、3人分は多いなぁと感じた。エプロンをつけて洗い物をしていれば、私が大谷さんの奥さんみたいだとひとりで赤面してしまった。頭をよぎった妄想を掻き消して、これはあくまでも仕事なんだからと自分に言い聞かせる。

妄想は尽きなくて


家政婦なだけだとシャンとしたいのに、家主に恋しただけで奥さんみたいだなんて、と。


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あきゅろす。
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