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(慶次*)
本当に慶次は私の事が好きだなと思う。
今日も慶次の家に来ていて宿題やら予習やらと忙しかった。単位がギリギリな慶次が後輩にならないように必死だったが、最近は出席しているようで喜ばしい限りだ。慶次はやれば出来る子なのは私が一番知っている、だからやる気さえあれば学年上位もあり得るのだ。ただ、本人にやる気が無いだけなのである。

「ユエちゃん、何悩んでるんだい?」
「慶次が後輩にならないように考えてたわ」
「大丈夫だって!ユエちゃんと付き合い始めてからはサボってないし」
「付き合う前はサボっていたのね」
「心を入れ換えたんだよ、一緒に進級したいし」
「よい心掛けだわ、さて、宿題も終わったし私帰るね」
「えっ!?」
「なによ」

慶次は不服そうな声をあげて私の手を掴み、まだやだよと呟いた。驚きはしないがこれ以上一緒にいる意味があるのだろうかといつも思う。

「ユエちゃん」
「なに?」
「キスしてもいい?」
「っ、いいよ」

ちぷっとリップ音がして唇が離れる、慶次は必ずお伺いを立ててくるから驚かないがこう毎回のお伺いもなぁと思い始めてきた。マンネリはいけないことなのだがいきなりやられたら私は確実に慶次を殴っているだろう。どうしたらいいのだ。

「慶次、舌はだめっ」
「なんでさ、食べたいじゃん」
「そ、そういうの、だめっはやいっ」

早くもないし駄目じゃないのだが恥ずかしいのだ生暖かい慶次の舌が私のを捕まえるような絡むキスは、とてつもなく恥ずかしい。そんなこと言えずに私はただ拒否するしかできなかった。本当はもっと先にも進みたいのに。

「ユエちゃん、俺のこと怖い?」
「怖くなんかない」
「じゃあ、してもいい?」
「…い、いいよっ」

言ったが最後、慶次は食べてしまうようなキスを始めた。私はとっさに手が慶次を押しやってしまうがその手を慶次は捕まえて床に押し付けた。抵抗が出来なくなってしまい私はくぐもった声をあげる。慶次はそれでも止める様子は見られなかった。嫌ではないのだ、私は口を離され熱く吐息する。

「慶次の、ばか」
「可愛い彼女が部屋にいて二人っきりだぜ?したくなるじゃん」
「ばかっ」
「ユエちゃん顔真っ赤」
「慶次もね、真っ赤」

もう一回、と慶次は唇を押し付けてくる。好きな人とのキスはくすぐったくてでもとても幸せなのだと認識した。認識させてくれたのは慶次なのだが、そろそろ雰囲気が危なくなってきた。慶次の手が私の腰をまさぐる、まだ早いよと私は言うのだがそれは聞いてくれないようだ。本気で嫌がれば、慶次は止めてくれるだろう。しかし今日はなんとなく許してしまうような気がしたのだ。

「ユエちゃん?」
「ふ、は、っなに?」
「いいの?」
「何が?」
「俺、止めないよ?」

無言で慶次の肩に額をくっ付けて、暫くだんまりをしていれば慶次は手を止めて首を傾げる。もう一度、いいの?と訪ねてきたから私は息を飲んでコクリと頷いて見せた。慶次は私の名前を呼んでその大きな手で頬を撫でる。

「ユエちゃん、」
「うん」
「優しくするから」
「うん」
「俺にユエちゃんの初めてをください」
「うん」

甘い昼間

初めては慶次がいいと決めていたから、と言えば慶次は顔を真っ赤にしていた。


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