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(佐助)
煙草の灰を落とす、その仕草が堪らなく好きだった。煙を吸うときの眉間の皺だとか火を付けるときの仕草も堪らなく好き。要はすべての仕草が私のツボにハマるのだけれど、そんなことを言ったら図に乗るだろうから言ってあげないし煙草なんて止めちまえとか言ってしまう。そうじゃない、素直に好きだと言えば良いのにと何度も思うのだ。

「煙いよ、佐助くん」
「あは、ユエさんも吸う?」
「自らを死に近付ける煙草なんて私はやりません」

佐助くんはニコニコして私に煙を吹き掛ける。嫌なやつだなと一瞥して私は布団を被って横になった。情事は成され今は甘いピロートークの筈が私の口からは憎まれ事しか発せられない。嫌な感じだなと唇を噛んだ。

「ユエさん、可愛くないね」
「誰と比べてるのかしら」
「その辺の子、でもユエさんがイチバン可愛くない」
「そんな可愛くない女を抱くんだから男って分からないわ」
「ユエさんだからだよ、えっちのときはすんごく可愛らしいのに」
「何が言いたいのよ?」
「ツンデレ可愛いってこと」

ツンデレ?私はツンデレなのだろうか?佐助くんは意地悪く笑って私に抱き付いてくる、そんな仕草も母性本能から言わせれば可愛いのだろうけれど、生憎、私は可愛いなんて思えなかった。

「また?」
「次はいつ会えるか分からないもん」
「真田くんがいない日ならいつでも会えるでしょ。まさぐらないで」
「その気にさせたげる」
「終わったらまた煙草を吸ってよ」
「ユエさん好きだもんね、煙は嫌いなくせに」

バレていると思わなくて私は布団越しに佐助くんを殴った。痛い痛いなんて言う佐助くんは笑いながら私に触れるのだ。


どうやってデレればいいの?

誰か教えてよ。


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