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鬼とか竜とか、そんな小競り合いは私には関係ないじゃん!
そう言ったユエが凄いなと思った。
部活も終わって(相変わらず恒例となった師弟名物は激しかったたがな)ユエにメールを入れると少し遅れて返事がきた。委員会の仕事が忙しかったのか?
「Hi.kitty」
「政宗、お疲れ様」
「もうすぐ小十郎が迎えにくる、待ってろ」
「うん、今日ね、チカくんちに行ったんだよ」
「ちか?」
「元親くん」
「‥長曽我部?」
「うん」
手を繋いで(刷り込みってやつだよ)待っている途中でニコニコと報告するユエを一瞬、睨み付けてしまった。すぐに溜め息をついたが、次に見たユエは泣いてしまいそうな表情をしていた。
「友達作っちゃ駄目なの?」
「そうじゃねぇ、どうして鬼のすみかにノコノコ着いていくんだよ」
「鬼のすみか覚えておけよって言われた」
「二度といくな」
「‥‥ともだち、なのに」
シュン、と俯くユエに胸が痛んだ。心配なんだよとは言えず、ギュッと握ってきた手の力を無言で込めた。
「sit!」
「‥なんでも話せって言ったの政宗なのに」
「sorry!悪かった、friendだもんな、鬼と竜と知り合いなんざなかなか出来たもんじゃねぇよ」
「鬼とか竜とか‥私には関係ないもん。チカくんと政宗と、超仲良しなだけ!」
「‥そうだな」
そういった政宗の笑顔が、なんだか凄く胸にキた。悲しそうな、嬉しそうな、今にも泣き出してしまいそうな‥
だから、こいつは手離せねぇ
きっと北条んトコの野郎も同じなんだろうな。
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