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(勝家/学パロ)
「勝家くん、か。呼べないなぁ」

クラスメイトの名前を呼んで気恥ずかしくなる。同じクラスの柴田くんは暗いけど地味な私に普通に喋ってくれる友達の一人だ。島くんはキラキラし過ぎて眩しいけれど声をかけてくれるから友達なんだろうな。

「おはよう、待った?」
「今しがた参った故」
「そっか、行こう。あの子の好きそうなものあるといいね」

私は横恋慕をしていた。
柴田くんも横恋慕をしているから横恋慕同盟(私が命名した)だった。ただ、私が誰を好きなのか柴田くんは知らない。

「こちらはどうか」
「あの子の黒髪にはこっちじゃない?」
「左様ですか、しからば--」
「でも柴田くんが選ばないと意味ないよ」

貰ってくれるとは思えないものを必死に選ぶ柴田くんが可愛らしくて私はついつい意地悪をした。黒髪は私も同じ、ただ長さが違うだけで--柴田くんは時々私の髪に触れていた、ただ色を合わせているだけだと知っているのだけど私は嬉しくてでも虚しかった。

「これは、いかがでしょう」
「あ、ああ、うん?いいんでない?綺麗な桃色だね」

擬似デートとはまったくもって虚しい、この幸せもあと少しで終わってしまうなど思いたくなかった。何度となく繰り返されるこの幸せはただただ虚しいだけだったことに気付かない振りをしていた。

「喜んでくれるといいね」
「椿元氏、今日は有り難き、幸せ」
「お堅いな、頑張ってね」

彼は知らないだろう、出掛ける度に頑張って化粧をして洋服だって気を付けて何時間も姿見の前に居る私を。今日だって何時に起きたかすら忘れてしまったけれど姿見の中の私にバカにされそうなほど確認をしたのだ。

「またね!」
「気を付けて」

気にしてよ


後日、薔薇の花を添えた桃色の髪飾りをプレゼントされ、告白されたのはまた別の話。


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あきゅろす。
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