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(三成/学パロ)
晴れて両想いになれた私達ですが、特に変わらない毎日を過ごしております。これは普通なのでしょうか、お付き合いというものが初めてな私には分からないのです。

「三成の喜ぶモノ?」
「う、うん。親友の徳川くんなら知っているかなぁって」
「ワシに聞くより豊臣先生に聞くべきだろうに」
「もう聞いたよ、豊臣先生にも竹中先輩にもついでに大谷さんにも自分で考えろって言われちゃった」

ガッカリだよと言わんばかりに徳川くんに詰め寄れば、彼も困ったなと言わんばかりに肩を竦めた。なんだ、親友でも分からないのかと溜め息をついてしまった。

「本人に直接聞いたらどうだ?」
「出来たらとっくにやってるよ、石田くんの目を盗んで会いに来てるのに収穫無しかぁ」
「それだ、ユエ!」
「どれですか、徳川くん!」
「その、石田くんというの止めたらどうだろうか」
「え?」

それは名前呼びにしろってこと?無理無理、名前を呼ぶなんて、え、でもそれで石田くんが喜ぶなら考えてもいいかもしれない。しかしながら突然呼ぶのは失礼に当たらないだろうか?うんうん唸っていると徳川くんが心配そうに顔を覗き込んできた。

「大丈夫か?ワシで練習するか?」
「いや、家康くんは簡単でしょ、石田くんがいつも呼んで--絶叫してるから耳に残ってる」
「ワシも三成って呼んでるんだがなぁ」
「難しいけど、頑張ってみる!彼女だもんね、石田くんを名前で呼ぶなんて朝飯前!」

心配だなと笑う家康くんに失礼だなと言ってやった。やればできるんだぜ私は!

「あ!おはよう、石田くん!」
「ああ」
「ユエ、本当に朝飯前なのか?」
「あ、えへへ。じゃあね、ありがとう家康くん」

石田くんは私が家康くんと一緒にいても激昂しなかった。不思議だ、今日は機嫌がいいのかな?隣を歩く歩調は私に合わせてくれていて疲れなかった。

「み、っい、石田くん、今日英語当たるから答え合わせしよ」
「ああ」

「みつ、っいし、だくん、前々から思ってたんだけどお昼少ないねぇ」
「そうか?」

「みつ、な、いしだくん、またね」
「気を付けて帰れ」

結局、放課後まで名前で呼ぶことが叶わず図書室でぐったりしてしまった。いつもいつも名前で呼んでいる家康くんが羨ましい。ちなみに、放課後に家康くんを見つけた石田くんは激昂して追い掛けっこしてしまった。ああ、放課後には呼べると思ったのに図書室にまた静寂が訪れた。

「やれ、悩み事か」
「石田くんを名前で呼ぼうとして撃沈しております、大谷さん」
「不運よなぁ」
「不運です、三成くんは家康くんを追い掛けてしまいました」
「本人の居ないところで呼んでも意味がない、精進せよ」
「はぁい」

目の前にしなければ呼べるんだけどなぁと返却に来た生徒を捌きながら、また溜め息をひとつ。偶然返却に来た鶴姫ちゃんに心配されてしまったが占いは間に合っていると首を横に振らせて貰った。

「まだいたのか」
「石田くんこそ、ああ、大谷さんなら職員室に言ったよ…はぁ」
「浮かない顔をするなら名前なんて無理して呼ぶ必要もないだろう」
「ちが、無理なんてしてない…え?なんで、知ってるの!?」

家康くんから聞いたのかな、絶対に許さない。

「挙動不審な貴様を見ればすぐにわかる」
「酷いな、これでも自然体目指して頑張ってたんだけど」

ダメだったかと笑えば、ずいっと顔を近付けてきた。吃驚して「ひっ」なんて声を出してしまったではないか。三成くんは朝の話を聞いてしまったのだと囁くように言った。家康くんとの密談のことだろう、彼氏に一番見られたくない&聞かれたくない話を見て聞いてしまったのか、不運だなぁと思いながら俯く、顔が近すぎて恥ずかしくなってきたのだ。

「ユエの頑張りは認める、だからいつものようで構わない」
「私が構うの、三成くんって自然体に呼べるように頑張らなくちゃ」
「頑張らなくともいずれは呼べるようになるだろう、何故急ぐか。今のは数に入るのだろう?良かったな」
「あ!ちが!」

今のはノーカウントです!


「おはよう、三成くん!家康くん!」
「お、成長したんだな。ユエ」
「ユエ、家康を名前で呼ぶ必要はない」
「三成くんがそう言うなら--徳川くん」
「ワシ、今回は頑張ったのに」


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