*** 「は?出来ない?」「‥‥?」 夜、ソファに腰かけるユエの膝を借りて床に腰を下ろして枕にさせてもらっていた。柔らかな太ももの感触にお風呂上がりの香りも手伝って悦悦(えつえつ)としていれば上から先程の台詞だった。 「だから、私の下で何年働いているの?そのMDを忘れるなんて私の休み明けの会議までに終わらせると言っていたでしょう?」 「(仕事のはなし?)」 「ああ‥警備員は未だいるはずよ、取りに戻りなさい--返事すらきちんと出来ない新人をイビる前に自分の荷物の管理ぐらいきちんとおし」 静かに怒っている、それは彼女の纏うオーラと声色で分かった。セッツァーはそんな彼女を初めて見たのだ、いつも自分に笑いかけてくれる優しいユエではなく般若のような表情をしていて見なければよかったと見上げた目線をテレビに移す。 「‥使えない、ああまったく」 腕を伸ばしてワシャワシャと賭博師の柔らかな銀糸を撫でる。オーラは恐ろしかったが、その手は優しくて吃驚していた。自分をまるで猫のようだと言うユエだがそんな彼女こそ猫のようだと思った。 「せーつ」「にゃー」 「うふふふ‥それってなにプレイ?」 「純粋に癒しを与える猫だと思えねぇのかよ」 「あらあら、私の性格柄、純粋にとか考えられないわあ」 「うわあセツ困っちゃうう」 膝に擦り寄って甘えるように彼女の腰に腕を回すとユエの爪先がセッツァーの太ももを踏む、ツツ、と撫でるようにスウェットの感触を楽しむように付け根まで行ってはまた戻りを繰り返していた。少し身動いたのを見逃さずユエは面白そうに笑った。 「若いねぇ」 「年下に言われたかねぇよ」 「そう?‥ああ、全く使えない子からだわ」 電話のベルが鳴る、めんどくさそうに電話を取って話を始めてしまった。変わらないのは爪先が動いていること、布越しに少しずつ存在を主張するモノに触れないようにまるで仔猫のようにふみふみと踏みつけていた。嫌ではない賭博師は大人しくユエを見上げている。 「そう、良かったわね。そのMDは会議始まるまでしか受け付けないからね‥いい?きちんと纏めるのよ」 パチリと目線が合う、少しだけ苦しそうに下唇を噛む賭博師に爪先でチョンと触れてやる。思わず「っ!」と息を飲む賭博師にユエは人差し指を唇に当てた。 「ええ、そっちはそうして頂戴。ん?ああそうね先方にはくれぐれも‥」 グリグリと力加減に気を付けて緩急を付けて踏んでやると賭博師はテレビからユエに目線を移す。 「(やっぱり可愛いな)」 少しだけ涙目で、きゅう、とユエの服を掴む。手を伸ばして髪を撫でるとうっとりと目を閉じた。優しく撫でながら少しだけ力を入れて爪先で擦ると賭博師は思わず口を開ける。 「んっ!」 「え?ああ、猫よ猫‥そう写真見せたでしょう?可愛いオスのロシアンブルー」 「に、にあ〜(俺アイツと同じ扱い!?)」 すっかり臨時体制となった自身を柔らかく踏みつけるユエが恨めしくなって太ももに唇を這わせる。寝間着のショートパンツを捲って露になった白い太ももを優しく食む。相変わらず頭を撫でる手に少しだけ力が入ったのを感じた。 「ええ、休みはまだあるし‥もし早めに終わったら書類を私のディスクに送って頂戴、その際には連絡をいれておいてね」 自分より大きな男がまるで本当の猫のように寄り添っている光景を見下ろして脚にかぶりつく姿はまるで甘えっ子のようで--例えその目が快楽に足を踏み入れていたとしても--可愛らしくて堪らなかった。 「は‥う、に、にぁ」 「ん?‥ああ、もう休むわ。そちらも頑張って、無理はしないで明日遅刻したらもともこうもないでしょう?」 携帯を置くと、ユエは膝を噛む賭博師の髪をかき上げる。すっかりトロリとした表情の彼はだらしなくこちらを見上げる。 「焦らされて堪らないんでしょ?」 「う、‥ってんなら、どうにか」 「なあに?セツ」「して、くれ」 大きな手が踏みつける脚を撫でて身体を折って脹ら脛に舌を這わせる。ユエはクスクスと笑って苦しそうな賭博師を見下ろす。 「くるしいの?」「てめ‥」 「なぁんでかしらね、こんなことされてこんなになっちゃって‥こんな小娘に」 「しゃあねぇ‥だろ」「そう?」 足は緩やかに撫でている。苦しそうに眉を潜める賭博師は足首を掴んで離れないように固定する。 「我慢できないの?」「でき、ない」 「ひとりでシたらどう?」 「‥ユエがいるのにひとりでなんてできっかよ」 「そう言うもの?私は見てるだけでも構わないんだけど」 「足ぐらい貸せよ」 「貸してください、でしょう?」 「‥貸して、ください」 賭博師はユエの爪先をグリグリと押し付けて果てようとしていた。直によりも布越しの方が感じるようでズボンは膝まで下ろして下着越しに足を擦り付けていた。 「はっ‥」「セツ、こちらを見なさい」 「う、あ、ユエ」「かわいいね」 見るなと顔を背けるが、ユエは顎を掴んで自分の方に向ける。トロトロになった男を見下ろすと--昔の黒歴史を思い出してゾクゾクした。あの頃はなかなかこんな美形を相手にしたことはなかったが、望んでいた美形に触れる足から快感が流れ込むようだった。 「はっ‥あ、ユエ、ユエ」 「ふふっイッてもいいよ、セッツァー」 「う‥あ、-----くっ」 ビクビクッと震え、表情は恍惚としていた。口元の涎を嘗めるようにキスをすると、くちゅと力なく舌を絡めてくる。こんなサービス滅多にしないんだからねと小悪魔っぽく笑う。生暖かい足を離せばソファに倒れて込む。 「気持ちよかった?」「‥‥」 「あら、お返事は?」「‥‥」 豹変したユエに賭博師は戸惑いを隠せなかった。恐ろしい、が今までに知らなかった快感が身体を駆け巡って、こんな小娘にと再度頭を抱えるのだ。 「せーつ?」 「ユエ、お前、本当に何者だよ」 「ん?ただの部下をもつキャリアウーマンだけど?」 「その前は、なんだったんだよ」 「うふふ‥ひみつ」 賭博師はゆるゆると立ち上がり、ソファにユエを押し倒す。キョトンとして見上げると下着を脱いでいて、ユエのショートパンツを脱がしてしまった。 「あ、え?」「お礼、しなくちゃなあ」 「いやいや、お構い無く」 「にゃー」「いに"ゃー!」 にゃんにゃん!って可愛らしいものではなく 逃げるような体制から、始まって、まるで本当に猫の交尾のようだった。 (久々に血が騒いだ)(折角忘れていたのに、セツのばか) [*前へ][次へ#] [戻る] |