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仔犬+5とバルガス(甘)
たまの休みには恋人なら一緒過ごしたいと思うのは普通だろう、特に学生と社会人となれば休日はなんとか時間を作ろうと努力をして--


「‥ユエ、今日は出掛けぬのか」

「バルガスお兄ちゃん、うん、今日はおうちにいるよ」

大学生になったユエは週末の休みは朝から家にいないことが多かったため昼過ぎて起床したバルガスは彼女がコタツに入っている姿を見付けて足を止めた。

「レキも捕まんなくてね、今日はおうちでゴロゴロ!」

「年頃の娘が‥」「お兄ちゃんは?」

「夜勤明けだ」「暇?」

「もう一度言う、夜勤明けだ」

ぷくぅと頬を膨らませてユエはコロンと後ろに倒れバルガスを見上げた。風呂上がりのようで髪は湿っていたが彼から眠気は感じ取れない。もしかしたら今から出掛けるのかと淡い期待を抱いたのだが、どうやら今の彼からはその気は見えなかった。

「‥お兄ちゃん、寝直すの?」

「そのつもりだが」

「じゃあ私も!一緒に寝る!」

「構わぬが‥マッシュが泣くぞ」

「だってやることないんだもん」

まるで昔と変わらない無防備さにバルガスは頭を抱えたくなった。マッシュという好き合い付き合いをしている彼氏がいるにも関わらず、疚しい意味が無くとも他の男と床を共にするというのか、と。信頼されていると言えば聞こえが良いが、しかし--自分もそこらの男と変わらないということに気付いていないのだろうなとすぐ隣に腰を降ろせばユエはズリズリと絨毯を擦りながら移動して膝に頭を乗せた。

「我が儘だな、昔の方が聞き分けが良かったぞ」

「マッシュとバルガスお兄ちゃんが甘やかすからだよ」

「甘やかしていたのはマッシュだろう」

「お兄ちゃんもね、優しかったよ!私の我が儘たくさんたくさん聞いてくれたよ」

「昔は滅多に言わなかったからだ」

ギュウギュウと腰に細い腕が回り脇腹に柔らかい頬が当たる。「動けぬ」と言うがユエは離れようとしなかった。

「離せ、動けぬ」「やぁーだ!」

「っ‥部屋ではあらぬ誤解を招いても面倒なのでな、居間なら問題ないだろう」

「んぇ?」

「一寝入りして八つ時過ぎて、未だ暇だったら‥そうだな近場の買い物ぐらいなら付き合おう」

そう言うとユエはパッと離れてガバッと起き上がる。キョトンと言われた言葉を呑み込んで直ぐにキラキラと表情が輝くとドンっと年の離れた義兄に抱き付いた。

「うあぁぁん!お兄ちゃーん!」

「‥だから、あらぬ誤解を招くような行動は慎め!!」

「大好きだよ!バルガスお兄ちゃん!」

「‥‥‥」



一番甘いのは‥


一つ屋根の下で過ごす時間の一番長い、彼かもしれない。


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