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聖なる夜に(魔女・前フィガロ王)

「‥ユエ、今日は一緒に寝よう」

「サンディクロォズを捕まえてみたい!」

豪華なパーティが終わると二人にローブを引かれて寝室に入った。双子は必死に起きていようとしているのだが、絵本を読み始めるとウトウトと船をこぎ始める。

「(‥寝て欲しいのですけど)」

スリプルを掛けてしまおうかとも思ったのだが、どうやらそこまでする必要もないようだ。



「眠ってしまったか」

「はい、絵本の途中から‥」

大きなベッドには幼い双子と魔女がいて、スチュアートは親子のようだと微笑んだ。

「双子の護衛やらなんやらで楽しめなかっただろう?」

「‥いえ、そんなことは」

「どうだい?少し付き合わないか」

双子に布団をかけ直してユエは立ち上がる。ソファに腰を下ろしてグラスを受けとるとシャンペンがパチパチと瞬いていた。

「‥ユエ、父上が亡くなって私が王位を継いでもう何年も過ぎた」

「はい」

「どうだろう、ロニとレネも手の掛からなくなったことだし‥ユエにとてもなついている」

「?」

「双子の母親になってくれないか?」

「‥すでにもう、母親のようになっていますけど?」

違うよ、と首を横に振るスチュアートにユエは首を傾げる。

「フィガロの王妃に、と」

「!」

「知っているだろう?昔はフランシスと私でユエを取り合っていた、今は双子の世話を任せているから保留にしていたけど」

「‥そんな、スチュアートさま」

「駄目、かな」

「‥いけません、そのようなお考えは今すぐ捨ててください」

ピシャリと言い放つユエにスチュアートは苦笑する。両手をあげて「降参だよ」と笑うとフィガロにずっと仕えるよう頼んだのだ。

「ではこの話は止めにしよう。だが私は‥諦めの悪い男だからね」

「スチュアートさま」

「今日は、この良き日に」

カチンとグラスを合わせて、ユエは初めて彼と穏やかな一時を過ごした。

朝、双子に叩き起こされるとも知らずに

うっかりソファで眠ってしまったからなのだけど。


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あきゅろす。
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