03
「そう言えば」「ん?」
オラトリオと回線を切ってから少し調整をしていたユエの前にトレーを持ったカルマが現れた。休憩にしましょうと言われて時計を見れば5時を回ったところで、ユエは素直に書類とパソコンから離れた。
「兄さんは新型の子、知ってる?」
「<A-S>ですよね、音井教授が制作していると聞きましたよ」
「私もさっきオラクルから聞いたの、どんな子になるんだろうねぇ‥<A-P>と同じ戦闘型にするのかな」
「ええ、確か戦闘型とプロジェクトでは‥きっとパルスくんの“弟”になるのでしょうね」
「あ、やっぱり男性型なんだ」
クスクスと笑うユエにカルマはキョトンとして見せた。オラトリオが妹がいいって言うんだよと言えば難しいですねとの返事、ユエは全くその通りだと紅茶に口をつける。
「あと、本部を移行する前に‥上層部は博覧会を予定してるんですって」
「‥リハーサルみたいなものでしょうか」
「きっとね、本部の研究員もいきなりリュケイオンに移るって難しいから‥売り出さなくちゃね」
「売り出す?」
「海上都市リュケイオンは本部を置くのに最高の場所ですって」
まだまだ先の話ではあるが楽しみだとユエはニコニコしていた。カルマはそんな彼女に無理はしないでくださいねと釘を刺すとトレーを持ち立ち上がる。
「今日はもう休んだ方がいいですよ」
「えっ?」
「明日は全システムを動かすのでしょう、ユエさんが指揮を取るのですからお早めに休んでください」
「はぁい、まったく心配性なんだから兄さんは」
心配させる妹なんて悪い子ですね
もう子供じゃないのにとユエはツンッとそっぽを向いた。
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