ち
04.ため息またひとつ<A-K>
本日幾度となく吐き出された溜息にカルマは顔をあげた。
「どうかなさったのですか?」
少し、目線だけ上げた少女は何でもないよと笑う。無理をした笑みに幼い頃の正信を思い出した彼はエメラルドグリーンの瞳を細める。
「何でも、なくないでしょう。体調が悪いのですか?」
「あ、それはないから大丈夫、ちょっと、いま行き詰まってて」
「プログラムですか?」
「‥そう、オラトリオやカルマさんに持たせてみたいアタッカーでね!」
聞いて、少しホッと安心してしまった。
「実際に使ってみてほしいんだよね、本当は‥エルみたいな非戦闘型のプログラムに使ってもらいたい」
最近のネサフも危ないしねと二、三度頷いてカルマを見上げる。
「‥貴女って人は」
「だっ‥だってさ、でもね、最終的にはオラクルにあげるんだ!」
「オラクルに?」
「守られるだけじゃ嫌だって言ってたから‥それなら今すぐには無理だけど近い将来にって、約束したの」
そう言いながらユエは組み立てているプログラムをカルマに見せる。
「これなら、もう少し重くしても大丈夫でしょう」
「本当?いまのとこ、コレが一番軽いギリギリだったんだよね」
「ええ、私に聞いてくだされば手が空いたときに実際に使ってみますよ?」
「えっ?」
「万一のためリュケイオンに組み込むアタッカーとしても価値がありそうですし」
(認められてる、のかな)
<A-K>は厳しい性格だった。もし彼が人間だったら、正信以上の怖い上司だろう。他のロボット以上に生真面目なのだ。
「‥ですから、悩まないで話をしてください。正信さんも心配します」
「‥‥はい」
流石、正信を育てたロボットだ。普通なら接しにくいタイプの扱いがわかっている。
「ユエさん」
「?」
「休憩にしましょうか、お茶をいれますね」
ため息またひとつ
(でも甘やかされるのは苦手なんだよ、カルマさん!)
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