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4.愛してるなんて軽々しく言わないで(伯爵)
呼ばれたのは真夜中だった。礼儀がなっている辺りは流石、貴族様というところだろうか。

「やぁ、ユエ!よく来たね」

「アンタの従者に感謝するがいいよ。私は彼を気に入っているから差し向けたんだろう?」

いつもなら真っ先に現れるであろうメイドは今日は姿を見せない。可愛いのにな、伯爵に会う前に可愛らしい姿を見ておきたかったのにと階段を下る伯爵を睨む。

「ああ!そんな冷たいことを言わないでおくれ。僕は君に会いたくて仕方がなかったんだから」

大袈裟にしてみせるジェスチャー、おちょくられているのだろうかと初めは思ったのだが、これは彼の性格なのだろう。

「(私は会いたくなかった)」

「ユエ、考えてくれたかい?僕の元に来てくれると」

「何度も言うようだけど、答えはノー、よ。どうしてアンタの下につかなきゃいけないのよ」

「君の安全のためだよ」

お茶がいつのまにか用意されたテーブルに伯爵は私を進める。安全?伯爵側には私を敵視している輩が多いと言うのに何を戯れ言を口にしているのだろうか。

「ヒグレを敵に回すほど、私は愚かじゃない」

「僕の下には君を狙うやつもいるだろう。ユエ、君が僕の下に付けば奴等は君を狙わなくなるだろう。今の状況は危険なんだ。」

「‥生憎だけど、私が従うのは“彼”だけ。もし、今誰かに従わなくてはならないとしたら‥」

“彼の血族”と私は口元を歪める。対象者は--今、私が知る限りでは--新生した小娘だった。由緒正しい古い世代のユエが、新生したばかりの小娘に、なんて舌を噛んで死んでしまいたい衝動に駆られた。

「ユエ、分かってくれ、僕は君を----」

「言わないで、伯爵、私はもう小娘だったあの頃とは違うの‥」

腰に回された手を払い除けて、足は自然と扉へ向かう。

「今日は、有り難う。貴方の気紛れがないと私達自由に会えないんだもの」

「ユエ、毎日だって会いたいんだ、僕は」


愛してるなんて軽々しく言わないで

揺れてしまうのよ、私は未だ愚かな小娘だから。



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あきゅろす。
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