妄想SS/short
ギャグとギャップ。(天根×黒羽)
「今日も絶校長(好調)……ぷっ!」

「ツマらねぇ!!」

「うわっ!バネさん、ちょっとタンマ!」


部室で着替えながら今日の事を反省する。
ダブルスのコンビネーションは上々。
だけど今日も練習中にギャグをバネさんにツッコまれてしまった。

今日のギャグも冴えてると思ったんだけど…冴えてる…"サエ"てる


「サエさん、冴えてる……プッ!」

「うるせぇダビデ!さっさと着替えろよ。」

「痛!」


先に着替えを済ましたバネさんに頭を叩かれる。
痛いって言うけど、バネさんも加減してくれてるから、それ程痛くない。
条件反射で声は出るけど…


「ダビデ…俺をネタにつまんない事言わないでくれよな。」

「うぃ…」


部誌を書いていたサエさんが手を休めニッコリ笑みを浮かべながらコッチを見て来た。
その笑顔が妙に怖くて俺は急いで着替えを済ませる。


「じゃ、お疲れ。」

「お先ー。」

「あぁ、また明日。」


サエさんは今日、部長会議で部活に来れなかった剣太郎の仕事をしてから帰るから別として、
あの後、みんなで寄り道して行くと帰って行くのにバネさんは俺を待っててくれた。
最近、やっと二人で下校する事が日課になったとはいえ嬉しい。


「今日、化学の水谷がな…」


帰りながらバネさんはいつもその日のクラスでの出来事を俺に話してくれる。
聞けるのは嬉しいけど、いつもその時を一緒に過ごしてる首藤が羨ましいと思ってしまう。

小学校も中学校もオジイに指導されてたから気付かなかったけど…
バネさんが高校生になったら離れてしまう。
今まで通り毎日一緒にテニス出来なくなる。

俺がバネさんと同じ学科へ進むとも限らない。


「どうしたんだよ、いつになく真剣なツラしてよ。」

「なんでもない。」


バネさんに声を掛けられて我に返る。
そこには、俺の事を心配そうに見るバネさんの顔が夕日で綺麗に映し出された。


ちゅっ。


あまりにも綺麗だったから、バネさんの唇に自分の唇を落とした。
夕日で赤かったバネさんの顔がみるみる内に紅くなっていく。
俺よりも年上のくせに、そういうウブな所とか、本当に可愛いと思う。


「な、なにすんだよ…」

「キスだよ。バネさんが好きだから。」


ギャグを言えばツッコミがてら一発蹴りかパンチをしてくるのに
キスをすれば可愛く紅くなって俯いてしまう。

そんなギャップに俺は益々はまる訳で……ギャップ?
うわっ…!!
ギャグとギャップで一つネタが作れそう!


「ダビデ、俺もお前が…」

「バネさん、ちょっとタンマ!」

「は?」

「今、一つネタが浮かびそう!!」


急いでネタ帳を取り出す。


「……が。」

「え、バネさん何?」

「このダビデ野郎が!!」

「ちょっ、バネさんタンマ!殺気が!!ぐはっ……!!!」


よくあのハードな練習の後にこれだけの威力のある飛び蹴りが出来るなと感心してしまう……

薄れゆく意識の中で思った事は、離れ離れになってしまうかも知れないけど、なんだかんだ言っても今は幸せと言う事。







Fin...





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あきゅろす。
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