捧げ小説
亮姫へ相互記念(柳生×海堂ラブラブ)
不器用な愛と一途なキモチ


「比呂士さん、あの店…」

「薫、そんなに薄着をしないで下さい。風邪でもひいたらどうするつもりですか。」

「あっちはどうっスか?」

「薫、あと一つボタンを閉めて下さいね。」

「そこの雑貨屋…」

「薫、やはり君は露出し過ぎです。」

「…ペットショップ…」

「かお、「だぁあーっ!!」


今日は比呂士さんの受験が終わって初めてのデート。
合格発表を聞いた時、俺は自分の事の様に嬉しかった。

今日の服は朝から気合い入れて選んだ服で、何度も何度も鏡の前に立って変じゃねぇか確認もした。
比呂士さんの隣に居ても釣り合う様にって一生懸命選んだ服なのに…よりによって比呂士さんにボロクソ言われちまった。

浮かれていた自分が凄く惨めだ。


「機嫌を直してはくれませんか?」

「嫌っス。」

「即答ですか…」


俺は半ば無理矢理比呂士さんの手を引いてファミレスに入った。禁煙席に座り適当に飲み物を頼む。

いつもはうざったい位に囁く甘い言葉も今日は無くて、比呂士さんが口を開けば小煩いお説教じみた言葉ばっかり。

服が気に入らなかったのか?
それとも、嫌われちまったのか…?

不安に押し潰されそうになる。


「あのっ、比呂士さん」

「お待たせしましたー。」


口を開けばタイミングよく店員がココアと紅茶をトレイに乗せて現れた。
口を噤みキュッと拳を握り絞める。


「ご注文の品は以上で宜しいでしょうか?」

「えぇ、ありがとうございました。」

「失礼します。」


店員が下がって、ふわっとココアの甘い香りが鼻孔を擽る。
不安と甘い香りが混ざって涙が出そうになった。


「比呂士さん、俺の事嫌いになったんっスか?それとも俺、信用されてもねぇとか?」

「そんな訳無いでしょう!」

「じゃあ今日は一体何なんスか?まともに話しも聞いてくれねぇし。」

「すみません…」

「謝んな…」


謝られると余計不安になる。何も悪い事してねぇなら謝んなよ!
ついに涙で比呂士さんの顔がぼやけてきやがった。


「薫、ごめんなさい。君を信用していない訳ではないんですよ。」


そっと差し出されたハンカチで涙を拭いた。
何を言われるのか考えたら怖くて顔を上げる事が出来ねぇ。


「私は君を愛していますし信用もしています。ただ…」

「ただ?」

「君が可愛すぎて不安になるだけです。他の誰かに君を取られたくない…」


一瞬、何を言われてんのか分からなかった。
頭をフルに回転させて出た答え。つまり、比呂士さんは――


「嫉妬深くてごめんなさい…愛していますよ、薫。」


気持ちは言葉にしなければ伝わらない。
それと同じで不安も言葉にしなければ伝わらないから…


「俺も、大好きっス…」


ボロボロ涙が止まらない。次から次へと溢れてくる。

せ。


「これを飲み終わったらペットショップに行きましょうね。」

「聞いてたのかよ…」




fin.





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あきゅろす。
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