柳生海小説
カフェ。side H.Y
木手君と共に科学館に増設されているカフェに入る。冷房が効いていてひんやりと最初のうちは気持ち良いも、また外に出るのかと思うとゾッとした。


『いらっしゃいませー』


店員の甲高い声が響く。
店内はそれなりに繁盛しているようで、私達は暫く並んで待つ事になった。
その間、木手君と何を話していいのか分からない。海堂君も私も元から人懐っこく話すタイプではない。
外で待たせている海堂君が少し心配になって来た。


「柳生クン?海堂クンが心配ですか」

「え?」

「かなり愛しているようなので…片時も離れていたくない、と言う感じに見えるよ」


木手君の観察力に感心する。
確かにそうだから…


「君だって、そうで『次のお客様どうぞ』


店員に会話を遮られカウンターでメニューに目を通す。


「ドリンクで、コーラとアイスコーヒー」

「それとオレンジジュースとアイスティーを頂けますか」


店員から木手君に視線を移す。


「何か軽く食べますか?」

「そうしましょうか」


適当にクレープやサンドイッチを注目し会計を済ませる。
少し時間がかかるとの事で番号札を渡され店内で待つ事になった。
窓際の席に座れば海堂君と平古場君が話しをしているのが見えた。


「本当に好きで好きで仕方がないんですね。さっきもあんな所でキスしたり」

「おや、やはり気付かれてしまいましたか」

「当たり前でしょう」

「君だって平古場君と手くらい繋げはいいのに」

「いいんですよ。それにしても…」

「なんでしょう?」

「あんなにオープンにお付き合い宣言してよかったの?海堂クンは嫌みたいだったけど」

「普通なら誰にも言いません。ただ、君達には同じ気配を感じたもので」

「やっぱ、解る人間にはバレるのかも知れない…」


はぁ…
二人の口から溜息が漏れる。
この恋愛に嫌気がさしての溜息ではなくて強いて言うなら、この世界に対して。


「君の事は九州のダークホースと噂は聞いていましたよ、木手君」

「俺も君は知っているよ、柳生クン。王者立海の紳士…実際、会ってみたら紳士の皮を被ったペテン師の様だけどね」

「フフフ、褒め言葉として頂いておきます。君は殺し屋の異名そのものですね」


木手君とは妙に気が合った。

海堂君も対戦した事を気にせずに平古場君と話しが出来ているのだろうか…



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あきゅろす。
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