*novel* 目覚め+2+ 真琴は自分の身が置かされているあまりに突飛な事態の変化に、ある意味開き直っていた。 あまりに非現実的過ぎて、感覚が麻痺してしまっているのかもしれない。 真琴がまともに身体を動かせるようになったのは、奇妙な緑色の薬を飲んで3日後のことだった。 その間に彼女を世話してくれた長身の老人はセルファルドという名であることがわかった。 セルファルドは村里離れた森の中に、一人で自給自足の暮らしをしている。 川に水を汲みにいくと、川岸に真琴がずぶ濡れで倒れていたところを見つけたという。 真琴がコスプレだと思った魔法使いのようなローブは、実はコスプレなどなどではなく、「言霊師」と呼ばれる者達が好んで着る普段着だそうだ。 「言霊師」というのがなんであるのか解らないが、セルファルドが見せてくれたものは、まるで魔法のように見えた。 彼が片手を前方に突き出し、何やら小声でボソッと呟くと、彼の手の周りにポゥっとふんわり白い光が灯った。 こんなものを見せられると、ここが地球でなく、異世界にいるのだと悟らずにはいられない。 真琴の身にはもう一つ大きな変化が起こっていた。 それは、彼女が身体を動かせるようになって、違和感を感じて鏡を覗き込んだ時に判明した。 真琴は高校三年の18歳で、好みの問題関係なく誰もが「平凡」だと証する容姿をしていると自負していた。 しかし、鏡に映っていたのは「平凡」とはかけ離れていた。 髪は黒髪のままだったが、以前より艶やかで癖がなく手で梳くと流れるようにすり抜けていく。 瞳は藍色へと変化していた。 光の加減で青く煌めくそれは、黒目がちだった真琴のものとは、似ても似つかない。 肌は陶器のように滑らかだ。 そして12、3歳程度であろうか、幼いながらも妖しげな艶気を醸し出す整いすぎた容姿をしている。 問えば、10人中10人が「美少女」だと答えるに違いない。 −−−うわぁ…。美人になりたいとは思ったことはあるけれど、これはかなり目立つたろうなぁ…。 集合写真では後列の端を選び、文化祭の演劇ではセリフが一言のみの平民Aというポジションを好んだ真琴らしい感想だった。 −言い訳− 真琴さんは、ぐちぐち心の中で考えて表面上は飄々として冷めた印象の子です。 普通に笑ったりしますが、だいたいテンションが低い子です。 今のところ。 …会話が0ですね(汗 どうやったら自然に会話が入るのでしょうか。 次は必ず会話を入れなくては! この物語は恐らくご都合主義+斜め右方向にむかった王道な要素が入る予定です。 国語力と想像力が切実に欲しい! [*back] [戻る] |