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ゲームオーバー
3

たくさんの人がいた。僕のいる場所はどうやら高台のようで、眼下に淡い色をした草原が広がっている。けれども、空は相変わらず薄暗かった。草原の上に人がいる。ボロキレを纏った人が朝の通勤電車みたいにひしめき合っていた。広大な大地に隙間なく人が立っている。一人一人を見ると誰もが虚ろな目をしていた。空虚な瞳は光を灯していない。彼らの呟く独り言が幾重にも重なって暴風のようであった。ざわざわと耳につく。

「君もいずれああなるよ」

少年は瞳を輝かせた。大好きな玩具を見るように恍惚とした表情を浮かべていた。ああ、そして、その人間たちの異常に気づいてしまった。どの人間も肌の色がくすんだ灰色をしている。

「まだいろんなことを考えられるかもしれないけれど、そういったものもなくなるから」

灰色の人間たちはぶつかっても、こけても、踏まれても、表情ひとつ変えなかった。何ごとかを呟きながら縦横無尽に歩き回っている。

「彼らは目が見えないの?」
「必要ないじゃない。目だけじゃないよ? 耳も聞こえない。視界は要らない。聴覚も必要ない。目は先を見る。耳は今を知る。そういったものは必要ないんだ。できることは過去を振り返り、後悔を口にすること。あれらに未来はないし、今を知る必要もない。膨大な時間を、消滅するまで消化して、次の転生を待つだけだよ。」
「僕がああなりたくないと言ったら?」

僕の問いかけに、少年は薄く笑った。まるで用意していましたと言わんばかりにその言葉を口にする。

「天使になれば?」

少年の申し出に、僕は頷くことしかできなかった。


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あきゅろす。
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