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ゲームオーバー
1

埃を被ったような灰色だった。
空は厚い雲が幾重にも重なって、空の色を厳重に隠しているかのようだった。
岩の露呈した大地は無機質で、草木の色は見当たらない。

薄暗い荒野に僕は独りだった。

人の姿どころか生き物の姿もない。
視界を遮るものはなく、だだっ広い空間がひろがっている。
突然モンスターが現れて食い殺されてしまいそうな雰囲気があって、でも何者も現れることはなかった。
風はなく、音もない。それ以前に、ボロキレのような布を纏う僕に体温すら感じられなかった。

いつからここにいるのか、どうしてここにいるのか、僕に記憶はなかった。
静寂の中、僕の足音だけが響いている。地平線すら確認できる景色はどれだけ歩いても変わることはなかった。疲れをまったく感じないことに、違和を感じた。歩くのをやめてしまおうかと心が言って、「もう少し」と歩を進めたときだ。視界の先に二本の石柱を見つけた。僕は、導かれるように走り出す。

石柱は歩幅三つ分くらいの間をあけて、空に向かって伸びていた。垂直に走った溝はパルテノン神殿を思わせる。雄大で、神秘に満ちていた。石柱に向かって手を伸ばす。


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あきゅろす。
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