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小説
3

嘘だ。あり得ない。
そんな言葉がクリアの頭に浮かんでいた
落ちたペンが床に染みをつくるが、そこまで頭が回っていないようだ

クリアにとってもう二度と見るはずのない姿がそこにはあった
エドワードは不思議そうな顔をクリアに向ける

「あの…?少将?」

エドワードの声にクリアは現実に引き戻される

「…ごめんなさい、君があまりにも知人に似ていたから…
それにしても驚いちゃった。名前だけじゃなく、容姿も瓜二つなのね」

クリアは人当たりの良い笑顔を向けてエドワードに言う
先ほどまでの戸惑いはもうない

「君の噂は聞いてるよ。鋼の錬金術師君。
最年少の国家錬金術師らしいね」

「ハイ、まぁそうです
…あの、あなたは…?」

「私?あぁ、自己紹介がまだだったね。
私の名前はクリア・ブロッサム。地位は少将よ
ちなみに私も国家錬金術師で二つ名は風」

「風…?」

「うん、風の錬金術師。あ〜分かりにくいよね、風なんて」

不思議そうな顔をするエドワードにクリアは困ったような微笑みを向ける

「あの、ブロッサム少…」

エドワードがいいかけた言葉を遮るようにクリアがその唇に人差し指を突きつける

「え…?」

「敬語、やめてほしいな
年だってそんなに変わらないし、ね?」

「ですが…」

「お願い
…ダメ?」

小首を傾げるクリア
エドワードは困り、隣に立っていたロイに助けを求める

「クリアは言い出したら頑固だぞ
いいじゃないか、そのくらい」

暇そうにしていたロイはのんびりとそう言う

「…俺相当口悪いけどいいの?」

「もちろん!よろしくね、エドワード♪」

「こちらこそよろしく、クリア」

二人は握手をして笑う
ロイはふと、兄弟みたいだな、と感じた
容姿も口調もまったく違うが、何処か似ていた

「わーロイ何にやついてんの〜」
「うっわ大佐キモチワル〜」

…確かに似ている
確実に



軍の司令部とは思えない和やかな空気に包まれた部屋からは3人の笑い声が聞こえていた


…ロイの副官であるリザが大量の書類を運んで来るまでは

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