loNG THE PRINCE OF TENNIS dreAM
0-3
「ゲーム・ウォンバイ、乾」
「藍羅先輩」
『ん?』
「あの、今のは…」
『貞治の頭の中よ。今みたいに考えてるの』
コート内の乾がこちらを見ずに言う。
「困るなぁ。手の内を明かすようなことをしちゃあ…」
『その割りには、ずいぶん余裕そうに見えるけど?』
「フッ…」
「スゲー……」
「それにしても…リョーマ君が1ポイントも取れずに、1ゲーム落とすなんて…」
「うん。完全に逆をついたと思ったのに…」
「すべて乾先輩に読まれてる。強ぇー…」
「ゲーム・ウォンバイ、乾」
「2-1か……さすがに手強いな、乾先輩」
「大丈夫かな、リョーマ君…」
チェンジコートのために、リョーマと乾がすれ違う。
「25%」
「え?」
「海堂との試合も含めて、君の過去4試合を見せてもらった。
ストレート12本、クロス5本、ロブ3本。さっきのケースのように、スライスアプローチに対して、君がクロスに打ち返してくる確率は、わずか25%。
長身の俺に対し、あそこでのロブはまずない。そして、右側ストレート方向ががら空きになったことにより、強気な君は、俺の裏をかくために、必ず難しいクロスを狙う。
つまり、25%の確率は逆転し、クロスを打つ確率が、75%となるわけだ。
君のテニスはもう、見切られている」
風が吹き抜ける。
「参考になったかな?君のデータ」
「ふーん。やな戦い方」
「ふん…生意気なルーキーだ」
そう言って、2人はそれぞれのコートへ向かう。
「やっぱり、乾先輩打つコースが分かってたんだ」
「スゲー、乾先輩。こりゃ海堂先輩より強いかも」
「『当たり前(よ)(だよ)…!?』」
「「「え?」」」
また不二とハモってしまった。
「あはは…今日はよくかぶるね」
『そうね…ι』
「乾先輩って、海堂先輩より強いんスか?」
『えぇ。貞治はあの薫に、3戦全勝なのよ』
「「「えっ!3戦全勝!?」」」
「ゲームカウント、2-1。乾リード。越前サービス」
リョーマがサーブを打つ。
それと同時に乾が動く。
だが、リョーマの打ったサーブはネットにかかった。
「サーブのコースも調査済みってわけ?」
「今のフォルトは予測出来なかったよ」
[*前へ][次へ#]
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!