ASSAULT〜僕らの日常〜(完結) Misshon 10 最速のピザ屋 4 「また・・・、負けた・・・・・」 香苗は床に膝をつき、ガクリと首を項垂れた。 「え、どう言うこと?え?え?まだ5分よね?嘘えぇ!?」 混乱しているアイリスに対して、伊吹はやっぱりと言って、玄関に向かう。 扉を開けると、満面の笑みのピザ屋の制服を着た青髪の男が立っていた。 長い髪を襟足で結び、小さいポニーテールにしている。 「相変わらず早いねクレイグ」 青髪の男、クレイグはあっはっは。と高らかに笑う。 「依頼の時間には必ず間に合わせるのが心情だからね」 そして、項垂れている香苗の方を向き、ニコッと笑った。 「残念だったね〜カナエちゃん」 伊吹以外全員固まる。いや、『背筋が凍った』といった方が正しいのかもしれない。 「か」 「カナエ・・・」 「ちゃん・・・?」 「・・・・・」 香苗はクレイグを強く睨む。 「あんた、その呼び方止めてって何回言えば気がすむのよ・・・」 「いいじゃん、僕とカナエちゃんの仲だし」 ポン、とアイリスは手を打つ。どうやら理解したようだ。 「あ、この人はカナエの再婚相t」 「ちがうから」 「面白いこと言うね君」 クレイグは再び笑う。 「あんたが大切な所を省略したからでしょうが!!」 香苗はクレイグに怒鳴る。そんな香苗をなだめつつ、伊吹はクレイグを紹介し始めた。 「彼はクレイグ・ブラッドレイ。元『運び屋(トランスポーター)』で、親父の友人さ。今はピザ屋でバイト中」 「どうも〜。二人がお世話になってまーす」 クレイグは一通りみんなにあいさつをし終わると、あ、そうだ、と言ってもう一度香苗へと向きを変える。 「カナエちゃん、お金」 「へ?」 「いや、時間通りに届けたからピザの代金」 「・・・チッ、わかったわよ。いくら?」 財布を取り出す。 「2万1300円」 「!!?」 [*前へ][次へ#] [戻る] |