恋愛ロジック
プロローグ
ぱさり――…
目の前の男がシャツを脱ぎ捨てる。
「なぁ…何で逃げるの?」
どんどん近付いてくる男から逃げるために後退りをする俺。すると背中に何かがぶつかった。
「逃げちゃやだよ、先生」
まるでハートマークが付きそうな声色が後ろから聞こえる。見ればナース服を着た少年がそこにいた。
逃げようとすればそれをさせないためか腹に手を回され、ぎゅっと抱きしめられる。
「そうだな、逃げちゃ駄目だ…俺に酷いことするまでは」
今度は目の前にさっきとは違う青年が、バニーガールの格好で立っていた。
「さぁ…俺をむちゃくちゃに抱いて……苓」
ちゅうっと頬にキスをされた。感触はないものの俺にはそれが堪えられなくて思わず
「うがぁぁあぁあぁぁあぁあぁぁあぁあ!!!?」
叫んでいた。
「……ゆ、め?」
パジャマは汗でぐっしょりと濡れ、布団は明後日の方向に落ちていた。するとガラガラと障子戸が音を発てて開いた。
「兄貴うっさいよぉ…今何時だと思ってんだよ…」
あくびをしながら弟の翔太が入ってくる。しかし、その姿は眼鏡がないのでぼやけてはいるが。
「悪い…変な夢見たから…」
「…夢ぇ…?」
のそのそとなぜか俺のベッドに入ってくる翔太。寝ぼけているのだろう。このまま追い出すのも可哀想だと俺はそのまま翔太を受け入れた。
「何か…上半身裸の奴とかナースとかバニーガールというか…俺に…思い出したくない…!!」
「じゃあもう寝ろよぉ…おやすみぃ…」
「ああ…」
そうだな、翔太の言うとおりもう寝よう。明日は新しい高校の新任式だし。
「おやすみ」
俺はそのまま眠りについた。
この時は俺はこの夢が内容は少し違うが現実になるなんて思ってもいなかった。
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