麗らか
第三者目線
青い空が一点の曇りもなく広がっている。小鳥のさえずりも暖かなそよ風も、もう春であることを伝えているような気がした。
お天気お姉さんが言っていた通り、洗濯日和だな。
男はそう思いながら、腕のいい庭師が手入れをしたであろう庭を歩いていた。向かうところはただ一つ。
…やっぱりここにいらっしゃった。
「優紀様、旦那様がお呼びですよ。」
男から発せられた声は心地よく、魅了されるものであった。
この男は如月家に仕える執事である。
名前は鈴木 慎太郎。
若干渋い名前だが、この名をつけたのは「優紀様」と呼ばれた可愛らしい男の子だ。だから慎太郎もこの名前を気に入っているらしい。
だが「優紀様」と呼ばれた当の本人は、優雅に紅茶を啜っていた。
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